オリジナル帯の新柄、出来てました。

遅まきながら

あけましておめでとうございます。

今年は静かなお正月、当店も新年の営業は7日から、スロースタート。

いつもの年なら、おしゃれして新年の集まりといったこの三連休も、おうちで過ごされる方が多いのかな。

 

2020年はどなたにも大変な一年でしたね(現在進行形ですが)。

我が店も、コロナウイルスに振り回されっぱなしの1年でした。

状況が日々変わり、それによって予定も変わり、そのたびにどうする!?とか言ってたら、あっという間の一年でした。

お店をやっていると、だいたい決まった時期に季節の商品を企画したり入荷したり、ある程度一年間のスケジュールというのがあります。

毎年、オリジナル商品の企画制作というのをやっているのですが、だいたい浴衣や夏物が終わる秋に発売できる予定で、オリジナルデザインの帯を、京都は西陣織りんどう屋さんに毎年織ってもらってきたんですよね。

2020年は、「今年の新作できたよ!」という発表をしませんでしたが

実は

作ってました。

しかも

実はなかなかこれ、いい出来ですの。

2020年冬の新作、スケールレース。

 

 

実はこれね

11月末に織り上がってきたんですが

そのころ北海道は、感染者急増真只中でしてね。

「新作できたよ!見に来て!」

とも言えない気分だったので、なんとなくあっためておりました。

お店に来て下さったお客様には、ご紹介していたんですけどね。

おかげさまで好評です。

 

毎年、春ごろ図案を描いて

夏の間に織ってもらい

秋に新作発表、という流れなのですが

今年の春は、さっぱり作りたいイメージが浮かばずにいました。

営業時間を短縮したりしていた時期だったので、考える時間はあったはずなんですけどね。

 

いつもの年なら、何かしらに取りつかれていて、デザインにしたい!というテーマがあって

ある時はマジョリカタイル(これは今でも取りつかれてますが)

ある時はアールデコ(これも永遠に好きなテーマ)

ですけど

昨年はなんだか、考えれば考えるほど

自分ごときが何か頭をひねった所で

昔の人が考えた伝統文様にはかなわないわ、という結論に達してしまってですね。

 

というのも

昨年までは、疫病が蔓延するなんてことは歴史上の出来事であって、現代でそんなことは起きないと思っていたわけですよ。

ところが新型コロナウイルスで世の中が止まったわけですね。

思うに

得体のしれない病を封じこめるすべが「神仏に祈る」のほかに無かった昔の人が、文様に願いを込めて身につけたりして生まれたのが、伝統文様なわけです。

医学の進んだ現代ですら、こんなに人間にはどうすることも出来ないのですから

昔の人の、現代以上の切実さから生まれて、今の時代までに受け継がれているもの。

力があって完成度が高くて当たり前です。

 

現代の自分が考えるデザインなんて足元にも及ばない、と思ったものでした。

とか考えながら

今まで集めた、いまの気分に響く資料などを眺めていた春夏です。

もっぱら、日本の伝統文様と、大好きなアールデコ。

そしてこのころ

あちこちで見かけるようになっていたのが、このアマビエ様。

ウロコと、波と。

 

それらが何となく重なってきた不思議。

 

あのね、みなさまご存知、日本の伝統文様のひとつ

青海波。

穏やかな波がどこまでも重なってつづいて、いつまでも平穏な日々が続くように、という縁起の良い文様。

アールヌーボー・アールデコは、ジャポニズムの影響を受けて生まれたので、明らかに日本に影響を受けたデザインというのがちらほらみられるのですが

青海波っぽいデザイン、というのがアールデコによく見られます。

こんなのとか。

まだ疫病が流行る前に行った、東京都庭園美術館(旧朝香宮邸)。

まれにみるフランスと日本が融合した奇跡のアールデコ建築(これについては以前書いた)。

あそこでもアールデコのなかに青海波が違和感なく存在していたのでした。

日本の文様の連続模様は、アールデコの幾何学的な連続模様に通じます。

 

アールデコにおいては、「青海波」ではなく、扇だったり、ウロコだったりするんでしょうけどね。

 

そんなことを考えながら

波?扇?ウロコ?のモチーフをつなげたりひっくり返したりしているうちに、出来た図案です。

なんのことやら、という話ですが。笑

 

無理やりまとめますと(ほんと無理矢理)

平穏な日々を願う青海波をベースに

アールデコの要素を取り入れた

和でも洋でもないエレガントなデザイン。

となっております。

私なりの、疫病退散柄。

 

まあ、そんな成り立ちや意味はワタクシの自己満足なのでどうでもいいことで

帯として、これ素敵にできましたの!

 

金糸・銀糸は使わずに、織の九寸名古屋帯で

お太鼓部分と前柄はちょっとレースを思わせるような上品なイメージです。

エレガントさがあるけれど

ウロコの連続でほんのりポップな可愛さもあって

上品小紋から、カジュアル紬まで、幅広くコーディネートしていただけます!

配色は

黒×ディープパープルと

白×ベージュの2配色。

これとってもイメージ通りの色に上がってうれしい!

柄のコントラストを強くしないようにして(これもイメージ通り!佐々木さんありがとう)

無地感の着物でも寂しくなく

柄ものの着物にもうるさくなく

使いやすくしました。

 

当店のオリジナル帯のコンセプトは

さりげなくいろいろな着物にコーディネートしやすい点

を大事にしているので、その点ばっちりな仕上がりです。

 

というわけで、やっとご紹介できた!

オンラインショップにはまだ上げていませんが、近日追加しますね。

 

たまにしかブログを書かないと思ったら、書けば長文。

お付き合いありがとうございます。

 

寒い日が続きますね。

落ち着かない日々が続いて、なんだか気持ちが晴れない事も多いですが

好きなものを身につけることで、もらえるパワーは大きい!

着るものが、単に身につけて寒さをしのぐものではなくて

そこに柄をデザインして願いを託した昔の人の気持ちが、ちょっとわかるような気がします。

着物というファッションにパワーをもらいながら、今年も頑張っていきましょう。

 

というわけで

本年もよろしくお願い申し上げます。

 

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