伊勢木綿の話。

こんにちは、お盆を過ぎましたが今頃になって暑いですね。

季節感が本当によくわからない今年の夏です。

そんな8月ですが、今年もお盆明け、秋に向けてのご提案

8/21㊎~30㊐

伊勢木綿とカジュアル着物フェア。

明後日からです。

 

秋に向けて浴衣→着物モードへ、ちょっとゆるっと気楽なところから移行したい気分と

浴衣から初めて着物にステップアップしたい方にも、お値段もお手頃でお洋服感覚の木綿着物からいかが?ということと。

 

ドレスアップしてのお出かけが、なかなかしにくくなってしまった今年はなおさら、普段の生活の中で楽しめるカジュアルな着物が、気分のような気がします。

 

それで、毎年、かわいいねー、とおすすめしている伊勢木綿のこと

これ、お洋服感覚の可愛さで話題になる事が多いですが(もちろん、そういう楽しみ方でよいのです!)、三重県指定伝統工芸品、なんですよね。

伝統工芸品の着物、というと高級品!という感じですけど

普段着の木綿であるこれも、伝統産業なのです。

 

木綿なんて気軽なもので、そんなこと深く考えずに楽しめるところが魅力です

その一方で

手の届く日常感ながら、その背景には歴史と受け継いできた先人の仕事と、はぐくまれた風土がある、みたいなこと

そんなことも、面白いなと思っています。

それもまた、着物の楽しみのひとつ。

 

思えば3年前、2017年6月のこと

 

三重県津市の臼井織布さんにお邪魔しました。

伊勢木綿を織っているところに行ってみたくて。

京都から近鉄を乗り継いで、そこは昔のままのような風景で、都からお伊勢参りに向かう街道筋、という風情が残っていました。

伊勢で木綿が織られるようになったのは、室町時代から。

昔から木綿の産地で、水刷毛のよい土地と、目の前の伊勢湾で肥料になる鰯がたっぷりとれたんですって。

江戸でも人気の伊勢の木綿、たくさん織られていた時代があったわけですが、今は臼井さんが唯一の織元さん。

伺った時、たくさんの織機が並んで元気に動いていました。

伊勢木綿を織っているのは、豊田式力織機といって、かなり旧式の織機。

100年前の機械が、現役で動いているのです。

豊田式力織機、の「豊田」は、今の自動車のトヨタです。創業者の幕末生まれの発明家・豊田佐吉さんが、それまでパタンパタンと手作業しかなかった織物を、機械の力で速く織れる自動織機を発明したのが明治のお話。

日本の産業革命のころの機械が、今も一生懸命動いています。

 

これには理由があって

伊勢木綿の糸は、単糸といって、あまり撚りがかかっていない糸。

この糸により、伊勢木綿独特の、ふんわりとやわらかい風合いの織物になります。

そして

その後の時代には、もっともっとスピーディーに効率よく量産できる織機も発明されているわけだけど

この旧式の織機の、今の機械に比べるとゆっくりしたスピードじゃないと、単糸は切れてしまって織れないのですって。

だから、いまも昔のままの機械を、修理しながら使っているのです。

機械、というものが発明されたころの機械。なんか可愛い。

 

そうやって織られている伊勢木綿は

長いあいだ、庶民の日常着として生活のそばにあった、あったかい風合い。

この昔ながらのラベルがたまりませんねえ

 

昔ながらと言っても、昔のまま古びてはいない色柄。

伊勢木綿は、他の産地の木綿にくらべて大胆な太縞や大きな格子が特徴。

さらに、近年は色の自由さ。

これは、新たなことに取り組む臼井社長の姿勢と

臼井さんの工場には女性従業員さんも多くて、女子目線の配色が取り入れられているわけですね。

一時は、とってもカラフルポップな配色が人気で

伊勢木綿=若い人向けの可愛らしいチェック

みたいに思われた感もあったけれど

最近は、昔ながらの紺・茶の配色の味わいも取り入れた、大人カジュアルなとてもいい感じになってきたような。

 

3年前の写真を振り返ると

また、行きたいなー、と思います。

おいそれと、行きたいところに移動できない世の中になってしまった悲しみ。

ですが

産地で作られたものには

その産地の空気が入っている気がして

すぐには行けないその場所で作られ、自分の手元に運ばれてきた

そんな物語とご縁に、価値があるような気もします。

 

ちなみに、臼井さんのところに行った当時の3年前のブログはこちら

伊勢木綿の織元さんへ行ってきました 前篇

伊勢木綿の織元さんへ行ってきました 後編

ワタクシの当時の感動が熱く伝わります。よろしければどうぞ。笑

 

 

まあ、深く考えずに

これ可愛いっ

でいいんですけどね。

 

明後日から、8/30までのご紹介です。

お好きな柄に出会えるとよいですね。

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