着物雑学帖19 花嫁衣裳について

こんにちは!コモノハナの高山です。

 

2022年の夏はイベントが盛りだくさん!
という事で、しばらくお休みさせていただきました。
お待ち頂いていた方、大変お待たせいたしました。(いらっしゃるんだろうか)

 

さてさて、本日は…

着物雑学帖の日です!!

実は秋の北海道はブライダルシーズン。
と、いうことで…。
今回のテーマは花嫁衣裳です。

 

最近人気を集めている和装のウエディング。
その衣装たちの歴史や成り立ち、小物の説明などをしていきたいと思っております。

 

 

 

 

武家衣装がはじまり

現代の和装の花嫁衣裳は

白無垢 色打掛 振袖

などがあります。

 

それらのルーツは武家の衣装からきています。
お侍さんのお家ですね。

 

白無垢

この中で一番歴史が古いのが白無垢。
古来より神聖な色とされた白は、平安時代頃から婚礼衣装に使われたそうです。
現在の白無垢の原型は室町時代頃に完成したとか。
白はまだ何色にも染まっていない、純粋な色。
家同士の結びつきである武家の婚礼では「婚家の色に染まる」という意味もあったそうです。

ちなみに洋装の定番である白いウエディングドレス。
白いドレスが一般的になったのは18世紀頃からだそうです。
イギリスのヴィクトリア女王が結婚式で着用されてから、一気に広まったとか。

同じ白の花嫁衣裳でも、かなり時代の隔たりがあるのですね。

 

 

 

色打掛

色打掛は武家の正装から来ています。
大奥などの時代劇で身分の高い女性が来ているアレが、打掛です。
江戸時代頃から、婚礼などの大事な節目の際に
より豪華な物を纏うようになったのが始まりと言われています。

 

現在はかなり自由度が上がっていますが
式では白無垢、披露宴では色打掛が主流でした。

 

ちなみに昔から現在まで、打掛の人気ナンバーワンの色はだそうです。
鮮やかな色合いはお式の主役にふさわしく、とても華やか。
日本では古来から赤は魔除けや繁栄などを意味する縁起の良い色なので、
人気も頷けるというものです。

 

 

 

振袖

以前のブログで、成人式の振袖について語らせていただきましたが、
今回は花嫁さんの振袖についてです。

 

婚礼衣裳としての振袖は、江戸時代の富裕な町民から始まったそうです。
お城に勤める御殿女中達の優雅な着姿に憧れたという説があります。
裾をゆったりと流した引き振袖
フキの部分には綿が詰められ、重厚感があります。

 

帯は立て矢という結び方で、矢のように一度嫁いだら戻ってこないように
という意味が込められているようです。

 

かつては黒引袖と呼ばれ、黒色が主流でした。
明治大正頃は、婚礼後袖を落として留袖にしていたと言われています。
ですが近年は様々な色がありますので、お好みに合わせて選ばれると良いですね!

 

 

 

 

和装ならではのヘアスタイル

最近はお色直しの兼ね合い等で洋髪も人気なのですが、
やはりせっかくだから、和のスタイルをフルで味わいたい…という方は
日本髪の鬘を選ばれる方も多いようです。

 

日本髪の場合は、文金高島田と言われる高く結われた鬘を被ります。
古式ゆかしい、伝統的なスタイル。
現代では茶色などの鬘もありますので、普段のヘアカラーに合わせられるのが魅力的。

 

日本髪のヘアアクセサリーは
・綿帽子
・角隠し
・簪、笄
などがあります。

 

綿帽子や角隠しは、昔は日常で使われてきた物なのです。
髪に埃が付かないように被っていたんですね。
(昔の日本髪はもちろん地毛で、形を整えるためにたくさんの油が使われていました)

 

一般的に綿帽子、角隠しは挙式、角隠し、簪笄は披露宴で着用される事が多いそうです。
綿帽子は洋装で言うベールでしょうか。とても神秘的で厳かな雰囲気です。

 

 

 

番外編:十二単

ちょっと衣装にもどりましょう。
多数派ではありませんが、こちらを選ばれる方もいらっしゃいます。

 

平安絵巻などでおなじみの、十二単です!!
現在では皇室の式典等でご覧になる機会もあるかと思われます。
一般の方でも着用する事ができるんですよ。

 

髪型はおすべらかしといい、江戸時代頃の公家の女性から始まったそうです。
お雛様の髪型ですね。
手には檜扇という、立派な扇を持ちます。(広げずに閉じた状態)
まるでブーケのような存在感を放っていますね。

 

ちなみに新郎は、束帯という衣装を着用します。
まるで光源氏のように優雅な装い…素敵です!

 

 

 

こんな感じで、花嫁衣裳を紹介させていただきました。
では次、白無垢、打掛、振袖で身につける小道具についてご紹介いたします。

 

 

 

筥迫

はこせこ、と読みます。
これは現代で言うポーチですね。
化粧道具や裁縫道具など、当時の女性の必需品を入れて衿元に忍ばせていたそうです。
今の私達も、着物を着た時衿元にカードとかチケット入れちゃったりしますよね…。
(脱いだ時に落ちて気が付くまでセット)
なんだかそう思うと、親近感が沸いてくるような気がします。
ちなみに現代の花嫁衣裳の筥迫は装飾品としての物なので、中には厚紙等が入っていて実用性はほぼありません。

 

 

 

懐剣

かいけん、と呼びます。
昔の武家女性は小型の刀を帯の間に差していたのです。
その用途は主に護身用
例え女性でも、自分の身は自分で護らなくてはならない。
そしていよいよとなったら、その懐剣で潔く自害をする…。
そんな「誇り高くあれ」という教育を受けてきていたのです。現代人とは覚悟が違いますね…。
刃物は魔除けの意味もあり、色々な災いから身を守ってくれるというお話もあります。
当たり前ですが現代の花嫁衣裳の懐剣は装飾品なので、刀ではありません。
ご安心下さいね!

 

 

 

末広

すえひろ、と呼びます。
見ての通りの扇子。
それぞれ金と銀の紙が貼られています。
扇子はひっくり返すと八の字になり、末広がりという事でとても縁起の良い物なのです。
新郎新婦のお母様も留袖着用の際は末広を帯に挟みます。花嫁さんより少しシンプルな作りの物ですね。
帯に挟む際は外側に金、自分側を銀にします。
これは相手に対する敬意(金)、謙虚な自分の心(銀)を表すと言われています。

 

以上、白無垢、打掛、振袖の小道具です。
上記の3つは武家の衣装が元になっておりますので、
昔の武家女性の持ち物がそのまま装飾品になっているのです。

 

 

 

 

 

 

こんな感じで、和の花嫁衣裳をご紹介させていただきました!!
華やかで幸せいっぱいな今回の記事、いかがでしたでしょうか?

 

 

さて、こちらのブログでもご案内した通り、
コモノハナは9月30日で閉店いたします。

なのでこちらの着物雑学帖も、一旦最終回とさせていただきます。

好き放題に語りつくした着物雑学帖。
髙山の大きな楽しみでもありました。

 

 

またいつか、こういった機会が持てましたら
たくさんたくさんお話したいと思います。

ご覧いただいた皆様、誠にありがとうございました!

 

 

 

 

 

また、毎度お願いしている事ですが

着物や関連物は、地域や時代によって様々な説があります。
ご自分の知っている事と違ったとしても「間違っている!」
と思うのではなく「こういう事もあるのか」と違いを一度受け入れていただきたいのです。

知識に「絶対」はありません。

所説あり

という事で楽しんでいただけると幸いです。

 

 

 

 

バックナンバー

その1 宝尽くしについて 
その2 四君子について 
その3 袴を語る~100年前のJK事情 
その4 〇△ロ~水玉、ウロコ、市松について 
その5 桜を語る 
その6 浮世絵の見方~江戸女子のファッション 
その7 浴衣について 
その8 龍について 
その9 おばけについて 
その10 兎について 
その11 ドクロについて 
その12 縞と格子について 
その13 振袖について 
その14 松竹梅について 
その15 風呂敷について 
その16 現代の袴について 
その17 帯留について 
その18 祭りについて 

 

 

 

 

 

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