着物雑学帖16 現代の袴について

こんにちは!コモノハナの高山です。

 

 

3月ですね。
少しづつ雪が溶け、春向けの商品もお店に並び始めています。
この時期は桜をモチーフにしたお菓子もたくさんあって、幸せな気分になりますね!

 

さて、本日は3月15日。
毎月15日は…

着物雑学帖の日です!

 

今回は3月という事で、袴をテーマにしようと思います。
昨年の着物雑学帖では明治、大正時代の袴についてでしたので…

今回は現代の袴をたくさん語らせていただこうと思います!

 

 

 

きっかけは映画から

以前のブログでは、女子学生達が日常的に袴を着用していた時代についてお話しました。
多くの女学校が設立された明治時代に考案された袴は、1920年頃から洋装の制服に姿を変えます。

 

その後第二次世界大戦などを挟み、学生の袴は消滅したかのように思われました。
ですが、戦後の高度経済成長期も、少数ながら一部の学生、教員が式典で着用していたそうです。
(例えば宝塚音楽学校の緑の袴は有名ですよね)

 

そんな戦後の袴は、いつから卒業式の定番スタイルになったのか?

 

所説ありますが、こちらの映画がきっかけという説もあります。

南野陽子さん主演・はいからさんが通る
可愛くかけずすみません、髙山の画力ではこの辺が限界です…。

 

ちょうど1980年代頃から女子の大学進学率が上がってきたという事もあり、
はいからさんみたいな袴」という卒業式スタイルが定着していったと聞いています。

 

主人公・紅緒役の南野さんは、今見てもとても素敵!
確か主題歌も歌っていましたね。
ブームになるのが納得できるくらいの可愛らしさです。

ちなみにこちらには若き日の阿部寛さんも出演されていました。
なんと俳優としてのデビュー作だったとか…。
色々な意味で見ごたえのある作品です。

 

 

 

 

 

袴にも流行あり

そんな感じで、女子学生の袴スタイルは卒業式の定番として定着していきました。

 

そこで気になるのは時代ごとの着こなし。
前回、振袖を語った記事で10年ごとのトレンドをご紹介しましたが…。
今回は袴のトレンドも調べてみました。

 

こちらは当時の写真やカタログ、人づてに聞いたお話を元にしております。
地域によっても違いはあると思いますが、ふんわりとご覧いただければ幸いです。

 

昭和末期~平成初期

卒業式に袴が増え始めた黎明期。
今から約30年~40年程前ですね。

 

着物は色無地が基本。他は、控えめな小紋や、付け下げなどもあったとか。
この時代は、最初に仕立てる着物として色無地がオススメされていたようです。
色は薄いピンク系、オレンジ系が圧倒的。当時の「お嬢さん」定番カラーでした。

 

袴はウール素材。現代の多くはポリエステル素材なので、それよりも少し厚手です。
紺や濃紫など、深い色がほとんどだったそうです。

 

現代の袴と大きく違う点は、何といっても着方。
丈がかなり短いのです。
当時の写真を見てみると、草履の場合でも裾が足首ギリギリくらいの丈でした。
中には足首がチラっと見えている方もいて、本当に短かったのだなぁと驚いてしまいました。

 

帯の位置も現代からすると低めに着付ている方が多かったみたいです。

 

ヘアスタイルはハーフアップや、控えめなアップスタイル。
現在のように華やかなヘアアクセサリーはあまり多くありませんでした。
リボンはこの頃から人気があったみたいです。
やっぱり、はいからさんブームが熱かったのでしょうね。

 

 

 

 

平成中期

この辺りから大学や短大だけではなく、
看護学校や専門学校などでも袴が着られるようになったと聞いた事があります。

 

約78㎝の二尺袖が広く着られるようになったのもこの頃からだとか。
肩口や袖にかけて華やかな模様が入った絵羽柄が人気を集めます。

 

また、この時期はアンティーク着物ブームが始まった頃。
従来の赤やピンクなど可愛らしい色の他に、
こっくりとした色合いも好まれたそうです。

 

今までウール地だった袴にポリエステル地が出だした時期でもあります。
丈も少しづつ長さが出てきたようですね。

この辺のコーデも正統派スタイルとして、好まれる方は多いですよ。

 

ヘアスタイルやヘアアクセは振袖の時のようなアップスタイル。
ハーフアップ派も多かったそうです。

 

この辺りから、着物やヘアに振袖の流行がそのまま取り入れられるようになったと聞いています。

 

 

ちなみに、高山が卒業式で袴を着たのもこの頃です。平成16年でした(年がバレる)

紫の矢羽根柄に紺色の袴。下はブーツを履いていました。
写真は実家にありますので…なんとか思いだしながら絵にしてみました。
なんだか照れちゃいますねぇ~。

 

 

 

 

平成後期

この頃から、小学校の卒業式での袴着用が増えていきました。
当初はクラスの半分くらいだったのですが、現在はクラスで約8割が袴だそうです!
地域によって違いはありますが、札幌の小学生の袴率はかなり高いようです。

 

着物のお袖も長くなり、振袖丈も増えてきました。
成人式の振袖を卒業式でも着たいという方も多いみたいですね。

レトロモダン調の柄で、ビビッドな色合いが人気を集めました。

 

また、袴の丈もかなり長いです。
帯は胸の下くらいの位置。
袴は足の甲につくくらいがスタンダードです。
(ブーツだともう少し短いですが、ショートブーツも多いのでやはり長め)

 

ヘアは細かい編み込みを入れ、ふんわりとほぐしたスタイル。
ハーフアップでも少しアレンジを入れている方が多いです。

 

この辺りのコーディネートは現在も人気があります。
とてもキュートで、ガーリーな着こなしですね。

 

 

 

 

令和

現代までやってきました。

ここ2、3年で増えてきたのは、色味を押さえたコーディネイト
ブラウン、ベージュ、グレー、くすみ系のペールブルーやピンク。
落ち着いたニュアンスカラーが人気です。

 

袴がシックな分、小物でアクセントをつける方が多いみたいです。
レースの手袋やヘッドドレスなどで、洋風に決めるスタイルが注目されています。

袴というよりはドレスのようなスタイル

 

ヘアはゆるくアップにしたスタイルの他、
帽子やヘッドアクセを付ける場合はショートやボブをそのまま活かしたりする事も。

 

少しづつですが人気が出てきたように思えるコーデ。
ここまでではなくとも、着物や袴のどちらかにスモーキーな色を選ぶ方はとても多いです!

 

 

 

 

こんな感じで、袴のトレンドの移り変わりをまとめてみました。

 

資料を探していて困ったのは、袴を扱っている記事がとても少ない…。
特に昔の雑誌を見ると、振袖特集の最後の1ページだけ、みたいな扱いでした。

 

そう考えると袴で自分らしさを表現するというのも、
時の流れでどんどん広まってきたという事でしょうか。

 

とびきりのオシャレをして臨む巣立ちの儀。
やっぱり素敵な袴姿がたくさん見られる3月は最高!と思う高山でした。

 

 

 

 

 

他にも高山に語って欲しいお題がありましたら、ぜひ教えて下さい!
リクエストは常時募集中です♪

 

また、毎度お願いしている事ですが

着物や関連物は、地域や時代によって様々な説があります。
ご自分の知っている事と違ったとしても「間違っている!」
と思うのではなく「こういう事もあるのか」と違いを一度受け入れていただきたいのです。

 

いつものフレーズですが…

知識に「絶対」はありません。

所説あり

という事で楽しんでいただけると幸いです。

 

高山の着物雑学帖は毎月15日を予定しております。
来月また、お会いしましょう!!

 

 

 

バックナンバー

その1 宝尽くしについて 
その2 四君子について 
その3 袴を語る~100年前のJK事情 
その4 〇△ロ~水玉、ウロコ、市松について 
その5 桜を語る 
その6 浮世絵の見方~江戸女子のファッション 
その7 浴衣について 
その8 龍について 
その9 おばけについて 
その10 兎について 
その11 ドクロについて 
その12 縞と格子について 
その13 振袖について 
その14 松竹梅について 
その15 風呂敷について 

 

 

 

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