投稿日:2015年04月10日

【札幌 弁護士コラム】家族信託ってなんだろう?(8):家族信託と遺言の違いって?③

③遺言は亡くなったときから、家族信託は健在なあいだから

遺言は、遺言を書いた者(遺言者)が死亡した時点で効力を発生します(遺言が要式に従って作成されていた場合に限られますが)。このため、相続人や遺言によって財産を渡される者(受遺者)は何の備えもなく、突如財産を得たり、逆に相続分に従って得られるであろうと思っていた財産が得られないことが判明したりします。

 

一方で家族信託では、受託者が信託契約の内容を把握しており、かつ、通常は家族信託を設定する際に家族会議等で関係する者の了解を取っておくため、委託者が死亡した場合であっても突如財産を得たりすることが判明することはありません。また、不動産のように継続的な管理が必要な財産の場合であっても、委託者の存命中から受託者が財産の管理を行なっていることから、委託者が死亡したからといって管理で困るようなことは少ないと考えられます。

 

以上のように、家族信託は存命中から相続財産が誰に渡るのかが明らかになっており、かつ受託者が管理を継続していることから連続性を持った財産の承継方法であるといえます。この意味で遺言よりも家族信託のほうがスムーズな財産の承継が可能といえます。