投稿日:2015年03月16日

【札幌 弁護士コラム】家族信託ってなんだろう?(4):家族信託と認知症・相続対策②

②離婚した妻との子への相続

離婚した妻との間に子がおり、自身には再婚した後妻がいる場合の相続対策においても家族信託は有効です。

このような場合、第一には自身が亡くなった後の後妻の生活を考えます。その上で財産は自身の子供に引き継がせたいと考えることがあります。

この場合、遺言による相続対策は法律上できないことになっています。すなわち、自身の相続財産をある者に相続させ、さらにその相続人が別の者に相続するよう指示する遺言(二次相続の指定を含む遺言)は判例で無効とされています。このため、このような遺言を遺しても自身の希望は必ずしも叶えられないことになります。

このため、第一次的に後妻に財産を引き継がせ、第二次的に前妻との子に財産を引き継がせるようなことは困難であるとかんがえられてきましたが、家族信託を活用することによってこのようなことも実質的に可能になりました。

 

相続財産が収益不動産であるようなとき、このケースでは、以下の対策が考えられます。

①自身と前妻との子の間で信託契約を結び、自身の財産を前妻との子に信託する。これにより前妻との子は収益不動産を管理することとなる。

②自身が健在である間は、自身を受益者として収益不動産からの収入は自身が受け取る。

③自身が亡くなった後は、後妻を受益者として、後妻に収益不動産からの収入を受け取らせる。

④後妻が亡くなったら信託を終了させ、収益不動産を前妻との子のものとさせる。

この例が遺言では対応できなかったことを家族信託であれば解決できるという典型的な例であるといえます。