「弁護士といったら訴訟!」というイメージを持たれますが、そもそも訴訟って何でしょうか。
よく聞かれる質問を中心にQ&A形式にしてみました。
Q 訴訟と裁判って違うの?
A 訴訟とは裁判所で行われる訴訟手続を指すものであるのに対し、裁判とは裁判所が当事者に対して示す判断全てを指します。
訴訟は裁判所で行われる手続の中でも一番厳格なもので、裁判官が証拠に基づいて判決を下すものです。訴訟においては裁判官が当事者の間の紛争について、事実関係が認められるか法律的に正しいかを判断して、原告の請求を認めるかどうかを決めます。
一方、裁判は原告の請求を認めるかどうかだけではなく(判決も裁判の一種ですが)、証拠の提出を認めるかどうか、どこの裁判所で手続を行うかという細かい部分の裁判所の判断を含みます。また、家庭裁判所における審判という形式の判断も裁判に含まれます。
Q 訴訟はどこで行われるの?
A ご案内のとおり裁判所で行われます。
裁判所は最高裁判所を頂点として、次に高等裁判所、更に地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所という種別があります。
最初に訴訟を提起するのは、通常、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所のどれかです。
これらは各都道府県にそれぞれありますが、北海道ではそれぞれ札幌、旭川、釧路、函館に4つずつあります。さらにその4つそれぞれにいくつかの支部があります。
地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所のどれを使うかは何を請求するかによります。ざっくりいうと地方裁判所には金額の大きい事件、家庭裁判所には家庭や家族に関する事件、簡易裁判所には金額の小さい事件が配点されます。札幌で500万円の売掛金を請求する場合には札幌地方裁判所、離婚を請求する場合には札幌家庭裁判所、100万円の貸金の返還を請求する場合には札幌簡易裁判所に訴訟の申立てをすることになります。
Q 訴訟ってどういう流れで起こるの?
A 弁護士が代理人となって訴訟を提起する場合、多くのときはまず訴訟外の交渉から始めます。
弁護士から請求の相手方に対して、まずは事実関係と請求内容を簡潔に書いた通知書を内容証明郵便で送ることが多いです。
相手方がそれを完全に受け入れる場合や、交渉の結果、相手方が分割での支払いや減額しての支払いを認めた場合にはそれで和解成立として終了することもあります。しかし、相手方が通知書を無視したり、和解の折り合いがつかない場合には法的な強制手段として訴訟を検討することになります。
訴訟を起こせば必ず請求が通るわけではなく、かつ費用もかかりますので訴訟をするかどうかは慎重な検討が必要なことも往々にしてあります。検討の要素としては①請求金額の大きさ、②勝訴の可能性、③相手方の資力(お金を持っているかどうか)が大きいと考えられます。