こんばんは、荒木でございます。
今日は午前中、顧問先様が外部委託している業者さんとの打合せ、午後は月例ミーティングでした。
さて、弁護士業をやっていると、紛争が起こりやすい類型というのがいくつかわかってきます。
その中でも典型的なものが「誰の責任か論」。
一番わかりやすいもので言えば「過失割合」の話。
過失割合というと、もっとも一般的なのが交通事故にけるものです。
停まっている車に追突したような事案では100:0のようなものもありますが、かなりの割合で過失割合の議論に発展することがあります。
これというのは、「自分も悪いけど、おたくも悪いでしょ」という議論で、具体的には「こっちは黄色信号で進入したけど、おたくは一時停止しなかったでしょ」といったようなもの。
これは事故の案件だけではなく、取引におけるトラブルでも見受けられます。
別の話としてあるのが、「責任分界点論」とでもいうべきもの。
「責任分界点」とは、電力に関する用語のようですが、「ここまでは私の責任、ここからはあなたの責任」という、責任の範囲を分解する考え方です。
電力で言えば、「キュービクルの手前までは電力会社の責任範囲、キュービクルから各戸への給電は建物オーナーの責任範囲」といったようなことです。
これは契約における責任論としても非常に似た部分があります。
典型的なものでいえば、業務委託契約。
業務委託契約にも色々とありますが、特に役務を提供してもらうタイプの契約であれば、本来は委託者がやるべきことを外部に投げている形になります。
この場合、「何を投げるか」というところがあいまいになっていると、投げたほうは投げたつもりになっているのに対し、投げられたほうは投げられていないつもりになっていたりします。
そこで責任分界点がはっきりせず、「おたくの責任でしょ!」、「いやそんなこと聞いてませんよ!」といった議論に発展することになります。
契約時の要点としては、まずはこの「誰の責任か論」が発生し得ることを前提として契約交渉を行うこと。
その上で、どんな責任が発生し得るのかを想定すること。
さらに、その責任の重さとリターンが釣り合っているかを判定すること。
こういったことが必要になってきます。
…って、これって結構難しいことですよね?
そう、この辺りって実は弁護士が契約書をレビューするときに目を光らせるポイントだったりするんです。
何気ないところにも責任分界点は存在し、それを見過ごしたり、誤認すればリスクを生じるもの。
契約のプロたる弁護士はそんなところにも気働きをする役割を担っています。
【東京進出まで あと54日(本日2回目の投稿のため変わりなし(汗))】