こんばんは、荒木でございます。
21日は、弁護士会の就職説明会と司法修習生との懇親会。
22日は、滝行に行ってからのジムと自己研鑽の一日でした。
就職説明会では、当事務所志望者の司法修習生何名かとお話してきました。
当事務所の理念、事業内容、目指す事務所像などお話して、司法修習生からの質問や感想などを受けるということをしてきました。
そこで強く感じたのは司法修習生の「将来に対する不安」。
現在の弁護士労働市場は、かなりの売り手市場ですので(例えばこの説明会も弁護士のブースが40程度に対し、司法修習生は20名程度)、就職すること自体にはそれほどの不安はないかも知れません。
しかし、その後、入った事務所の仕事ができるのか、所得は保障されているのか、事務所での人間関係は構築できるのか、10年後の生活は大丈夫なのか、といったような不安は尽きないように感じました。
まぁそれもそのはず。
司法試験の合格者数を見るだけでも、新司法試験が始まる前の2005年ころまでは1500人に満たなかったものが、その後数年で、一気に2000人を超え(私(荒木)もその世代です。)、「弁護士は食えなくなるんじゃないか。」と言われるようになる時代が来ました。
この頃に「ノキ弁(軒先を借りている弁護士=事務所から固定収入をもらわない弁護士)」、「宅弁(事務所の賃料が負担できないため、自宅を事務所として使っている弁護士)」、「携弁(固定電話を持たず、携帯電話だけで電話を受け付けている弁護士)」などと言う言葉が出て来て、法曹業界の不安をあおられてきました。
さらに、司法修習生に対する給与の給付の停止(貸与制への移行)、その後の司法試験合格者数の減少(昨年の最終合格者数は1403人)と弁護士になるまでの過程も大きく変容してきました。
こんな状況では将来、どんな制度変更にさらされるのかわからないですし、弁護士数で言っても20年前までは2万人に満たなかったのが、結果的に現状では4万人を超えているのであり、弁護士同士の競争の激化が進んでいます。
こういった環境に新人として弁護士になるのですから、我が身の安全保障は喫緊の課題であり、かつ最重要案件ということにならざるを得ないのもわからないでもありません。
だから、平均的(より少し上)、一般的(な中でも少し優遇されている)、といった弁護士像が多くの司法修習生にとっての理想像となっているのかも知れません。
イメージでいうと、案件の分野は何でもいいからこれまで勉強してきてイメージが付きやすい仕事で、9時から18時まで仕事をして、たまに残業が1時間程度、土日は休みで家族との時間を取れ、個人事件も自由に受任でき、自分のペースでストレスなく仕事ができて、収入は同年代のサラリーマンの倍くらいあれば十分、という感じです。
まぁ、それぞれの目標設定なのであり、外野からとやかく言われることでもないでしょう。
(念のためですが、これは私(荒木)が話した司法修習生からの印象というよりは、エントリーシート全体や終活に対する行動パターンを俯瞰しての感想ですので、誤解のなきよう。)
しかし、私(荒木)などは、こういう考え方に対して「どうも何だかなぁ」と思ってしまうわけなんですよ(あ、まだ採用活動中なのに言っちゃったw)。
それというのも、「面白さ要素」、言い換えれば「ワクワク感」というのがどうも感じられないからなんです。
例えば9時から18時までだけが仕事だと区切るとしても、それでも1日の中で一番時間を使っているのが仕事になるでしょう。
その時間が「面白くもなく、ワクワクもしない」時間だと決め打ちしてしまってるのは、何だかもったいなくないですか、と言いたくなります。
もちろん、「仕事以外で生きがいを見つける」というのもアリなんだと思うのですが、「それだったら生きがいを仕事にすれば?」何て思ってしまうわけです。
かく言う私(荒木)が、司法修習生の頃(というか終活していたのはその前ですが)、どんな高尚なことを考えていたんだ、と問われると痛いところですが、少なくとも転職、独立をして、明らかに「やりたいこと」というのが明確になってきましたし、それを追求することで仕事に好循環が生まれているのは間違いありません。
もちろん、私(荒木)が考えていることが完全に正しいというつもりもありませんし、普遍的なルールであると保障するわけではないですが、仮にこれが正しいとすれば、「後で気付くよりも、最初からそうやって行ったほうがいいんじゃないの。」と思います。
そして、徒然草にもあるように、「先達はあらまほしきことなり」ということで、先輩になるボス弁から経験や知識を吸い取ってやって行ったほうが手っ取り早いんじゃないの、と思ったりもしてしまいます。
司法修習生に限らず、将来に対する不安が強ければどうしても目先のことを考えてしまいたがりますし、周りの人がやっていることだったら失敗しないと思ってそれに合わせようとしてしまうでしょう(心理学用語でいうバンドワゴン効果みたいなものですね。)。
しかし、少し社会を俯瞰して見れば、目先のことにとらわれることや右へ倣えをすることにリスクがあることに気付けるのではないでしょうか。
かく言う私(荒木)は弁護士14年目、不惑を迎えた中堅(中年?)ですが、東京進出のこともあり、これまでで一番面白く、ワクワクしている時期なんだと思っています。
こんな人の話をアンチテーゼとしてでも、ちょっと聞いてもらえたらなぁと思った次第です。
【東京進出まで あと70日】