投稿日:2023年01月15日

【札幌 弁護士コラム】40年間、たった1人で隠れ家和食店を守り通してきたママに学んだ仕事の神髄とは

こんばんは、荒木でございます。

 

今日は日曜日ですが、作業とジムでの筋トレとその合間に採用面接(?)を。

弁護士の採用もそうなのですが、事務スタッフも少し募集しております。

 

さて、昨日は東京から来られた保険セールスの方と、札幌の経営者の方とでその方にご紹介頂いたお店で会食でした。

そのお店がまぁ凄いお店。

ママさんお一人でやってるんですが、まずお店の外からは存在することがまるでわからない(笑)。

SNSでもグーグルでも検索にヒットしない(!)というお店。

完全に一見さんお断りですし、そもそも入ってこないだろうという店構えです。

 

このママさんもかなり異色の経歴の方。

御年とって70代半ば。

お店の経営歴40数年(!)という大ベテランです。

元々はすすきので10年ほどやり、その後、銀座で30年。

3年ほど前に札幌に戻ってこられたそうです。

 

メニューはというと、丁寧に作られたおばんざいの数々から、旬のお魚、お肉など盛りだくさん。

お酒はワイン通ということであまり知られていないようで、しっかりとした質のものを出してくれます。

 

そしてまた、客層が面白いんです。

口コミでしか広がりようがないお店なんですが、なぜかお客さんは道外の方ばかり。

それも一流のサラリーマンを経て、大手企業の役員クラスになっている方が少なからずいらっしゃるようです。

これが最初すすきのでやっていた時もそうだというのだから驚きです。

 

そして元気なのはお店をやっている時だけではないママ。

全国各地のお客さんのところに行って、どんちゃん騒ぎして帰って来られるそう(笑)。

本当にすごいバイタリティです。

 

しかし、昨日、ママの口から驚きの一言が聞かれました。

「私、このお店今年でたたむんです。」と。

「えっ!」と一瞬なりましたが、お年もお年なのでやむを得ないかと思いました。

ただ、このママそんなレベルの方ではありません。

 

「私、いま○○不動産(←超大手企業(汗))の役員の人に、日本橋あたりの物件を探してもらってるの。」

 

これには本当に頭の下がる思いしかしませんでした。

我が身を省みて、年齢のせいにしたり、疲れのせいにしたりして、行動が伴わないことを恥ずかしく思いました。

 

このママがこれまでのお客さんにどの程度話しているのかわかりませんが、店をやめるということになったら寂しがる人が続出することは必定です。

当然のことながら「誰かに継がせないんですか?」という声が出るのも当然のこと。

愚問ながら私(荒木)も同じような質問をしてみました。

すると、またこの答えが味わい深いこと。

 

「私は40年店をやってきたけど、料理を作ってきただけじゃないの。」

 

そこには単なる味の追求だけではなく、エンターテイメントとしてのお店、世界観を描き出すお店、クローズドな人のコミュニティとしてのお店の姿を垣間見たような気がします。

 

私(荒木)は、これまでも事業承継やM&Aの案件に関わってきました。

専門はもちろん法律ですので、仕事としては法律的な面での知識やノウハウを使うことは当然です。

しかし、既存のやり方だけではうまく行かなかった事業承継やM&Aの案件では、こういった目に見えない価値と、経営者のこだわりがあったのだろう、と思いを致しました。

 

あ、あまりたくさんお越し頂くわけにもいかないお店ですので、お店の情報は詮索しないでくださいね(苦笑)。

 

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