投稿日:2022年12月29日

【札幌 弁護士コラム】「人は感情によって動く」ということを理解しての仕事と理解しないでの仕事の違い

おはようございます、荒木でございます。

 

昨日は事務所の御用納めでした。

年内に終わらせようと思って積み残した案件もいくつかものもありますが、年始の楽しみ(?)に取っておこうと思います。

 

さて、弁護士をやっているとつくづく思うのが、「人は感情によって動く」ということ。

これはどれだけ理知的に見える人でも、理屈ばかり言う人でも同じです。

それというのも、理屈や理性といったものは、感情を分析し、又は感情によって生じる弊害を取り除こうとするものだからです。

 

もちろん、全ての人が感情のままに動けば、ホッブズでいうところの「万人の万人に対する闘争」状態になってしまいます。

そのため、法秩序が整備されており、法秩序の逸脱に対する是正のために弁護士がいるわけです。

 

ただ、いくら法秩序があるといっても、弁護士として依頼者の感情抜きに対応をしようとすると失敗します。

これは特に若い時に多く経験をした記憶があります(今でも全くないとは言い切れませんが。)。

それというのも、依頼者が紛争案件で相談に訪れるときの感情は、紛争に対する思いで溢れかえっているからです。

借金問題であれば借金のことで頭がいっぱいですし、離婚問題であれば相手方に対する恨み辛みでいっぱいなのが当たり前でしょう。

そんなところにいきなり理屈を持ち出して解決しようとするのはナンセンスでしかありません。

 

逆に、スタートアップ企業などで「これからやってくぞー!」という方にアドバイスを求められたとき、あれもダメ、これもダメ、と言ってしまうとやはり感情を損ねてしまいます。

もちろん違法行為を「いいよ、いいよ」と見過ごしてしまうのは問題ですが、「できない」だけではなく、「どうしたらできるか」をアドバイスするのが本来の弁護士の役割なのではないでしょうか。

 

このようにいずれにしても、弁護士業というのは依頼者の感情と折り合いをつけることが重要な業務であるといえます。

 

このことは、弁護士業に限らず、一般的に仕事をする中で必要なことであるともいえます。

いい仕事をするためには、まず人の感情に耳を傾けること。

これを意識するだけで一段階や二段階はレベルの高い仕事ができるようになるのではないでしょうか。

 

【東京進出まで あと95日】