こんにちは、荒木でございます。
今日は朝から監査役を務めるスタートアップ企業の取締役会、同じく監査役を務める土屋ホールディングスの監査役会、ロータリークラブの例会、顧問先企業の訴訟案件のご相談、夜は日本酒会(笑)と結構多忙な一日になっています。
さて、弁護士と企業のかかわり方というのは意外と難しい面があります。
それというのも企業によって「弁護士像」というものが異なるところが大きいからです。
昔ながらの企業からのイメージだと、「用心棒」とか「何かあったら解決してもらえる存在」というようなところがもっぱらではないでしょうか。
一方で、最近のスタートアップ企業ですと、IT、インターネット周りの事業が多いこともあって、「規定、規約作りに必要な存在」であったり、「契約周りを見てもらう存在」というイメージが強いのかも知れません。
そのような弁護士像の違いによって、自ずから求められるものも変わってきます。
前者であれば、辣腕、剛腕を奮って事案を解決する能力が求められるでしょうし、後者であればビジネス的な感覚や事業に伴走してくれる感覚というものが求められるでしょう。
そうすると、弁護士として何を磨くのか、ということも変わってきます。
紛争事案解決の能力であれば、古来からあるような紛争処理の手続の知識と紛争処理の肌感覚が必要でしょう。
一方で、ビジネス的な感覚や事業に伴走してくれる感覚というのは一概には言えないところがあります。
後者の場合の難しいところは、弁護士に引っ張って行ってほしいのか、言ったことだけちゃんとやってほしいのか、という変数も抱えているところにあります。
スタートアップ企業の方とお話してみると、ある意味当たり前なのですが、ご自身も経営者としてであったり、企業の中枢で活動した経験が浅いため、ビジネスを見てきた弁護士の経験を知りたいという方が少なからずいらっしゃいます。
シリアルアントレプレナーのような方であれば、スタートアップ企業でもそれなりの経験を積んでいらっしゃるため、ビジネス感覚があるかどうかを確かめるだけで、後は頼んだことだけをやってくれ、という方が多いように思われます。
その一方で、弁護士側には少なからず「経営の意思決定に携わるのはちょっと…。」というメンタルブロックがあるのも事実。
弁護士になるためのキャリアの中で公式に経営に関する教育を受けるカリキュラムはないですし、弁護士会として経営に関与することを推奨する向きもないため、ある意味でやむを得ないところもあります。
だからこそ、ビジネス感覚を持った弁護士というのは希少な存在であり、重宝されるということも言えるでしょう。
そして、今後もこの傾向は続き、より一層ビジネス感覚を求められる時代になってくることも間違いありません。
もちろんビジネス感覚というのは一朝一夕に身につくものではないですし、定量的に測れるものでもありません。
日々の業務の中で他の経営者の感覚を感得し、身に付けていくという、ある意味での修行が必要でしょう。
しかしながら、それは必ずしも困難なものではなく、糸口さえつかみ、ビジネスに参画しているという意識を持つことによって自然となし得ることができるのではないかと思っています。
何だか誰向けに書いた文章なのかわからなくなってきましたが(汗)、一応、弁護士に依頼する立場にある経営者の方と、ビジネス法務を志す弁護士の方に向けた独り言としてご笑覧いただければ幸いです。
】