おはようございます、荒木でございます。
今日は、判決が1件、札幌市内の別ロータリークラブへの訪問が1件と比較的アポの少ない1日です。
溜まった作業を一掃したいところですね。
さて、前回は「企業の意思決定は、急に転換できないものであるから、顧問弁護士が寄り添うことによって徐々に変化させる必要がある」ということを書きました。
それに関連して、今回も顧問弁護士について書いてみたいと思います。
まず、企業の意思決定は誰がやるのでしょうか?
これについては様々な観点があるように思います。
基本的には、代表権と業務執行権を持つ代表取締役という考え方が一般的。
これに対しては、取締役会が業務執行を監督しているため取締役会にも意思決定権限があるともいえますし、そもそも取締役の選解任の権限は株主総会にあるため、株主にも権限があるという考え方もありますし、実際にアクティビストという株主の存在もあります。
そのような中で、意思決定を誰に委ねるべきか、という問題に立ち返るとすれば、「企業の経営について責任を取るべき人」に帰着するのが自然ではないでしょうか。
代表取締役だとすれば、株主から取締役として認められ、かつ取締役会において代表に選任されたという経過をもって責任を負うに足りると認められているはずです。
その前提としては代表取締役としての素質や人格が備わっているとの判断があるでしょうし、当然のことながら企業経営にコミットしてきた実績が認められているのです。
一方、企業が使う弁護士はどうでしょうか。
前回のブログで書いたとおり、「何かあったら」弁護士であれば、その案件さえちゃんとやってくれればいいわけで、極論すれば企業との信頼関係などなくてもいいのかも知れません。
しかし、「企業の意思決定に関わる」となってくれば話は別のはずです。
意思決定に関わるとすれば、代表取締役の選任ほどではないにしても、それまでの実績や人柄などが当然に見極められるはずですし、ポッと出の人に頼んだりするはずがありません。
だからこそ、継続的な顧問関係を結び、気心が知れるような関係性作りが前提として必要になります。
これを企業内部の人事でいえば、重要な役職者を検討するにあたって、まず臨時社員を選ぶことはないでしょうし、新入りを大抜擢するようなことも少ないでしょう。
やはり、企業において一定期間の関係性を持ち、信頼関係を構築した正社員を登用するはずです。
それと同様に、弁護士だって継続的な関係がなければ意思決定の一端を担わせることはできません。
こう考えてみると、顧問弁護士に顧問料を払い続けることが単なる「垂れ流している」状態ではなく、(もちろん日々の関係性構築や業務依頼があってのものですが)意思決定への関与に必要な関係性を構築している期間と考えることができます。
顧問弁護士を付けている企業の方も、これから顧問弁護士をと考えている企業の方も、今一度、そのような観点で弁護士との関係を考えてみてはいかがでしょうか。