こんばんは、荒木でございます。
昨日は裁判所の手続をいくつか、それに加えて月例ミーティング、新規のご相談、年賀状の準備(汗)と盛り沢山の一日でした。
最近、新規のご相談がいくつかあり、顧問契約のお話を頂くことが多くなっています。
以前にも「なぜ顧問契約が必要なのか」について書いたことがあるのですが、改めて考えてみました。
まず、他の士業の顧問契約との違いについて。
他の士業ですと、税理士、社労士という業種については顧問契約主体というところが多いのではないでしょうか。
それもそのはずで、毎月、毎年の確定的に発生する業務があるため、1回1回の手続について契約をするよりも、パッケージで契約をしておいた方が依頼者側も士業側も楽ですし、納得感が生じるでしょう。
毎月、登記業務が発生する不動産会社などでは、司法書士と顧問契約することもあるやに聞いています。
では弁護士はどうか、というと、正直なところ毎月発生するような業務というのはあまりなかったりもします。
そう考えると単発での依頼ばかりでも、依頼者としては全く構わないようにも思えてきます。
しかし、実はそう感じるのは弁護士の使い方を根本的に間違っているのかも知れません。
よく言われることで、かつ私(荒木)が嫌いな言葉の一つが「何かあったらよろしくね!」というもの。
でも、企業であれば、何か有事があるまで弁護士の出番がないわけではないと思っていますし、何かあったら本来的にはその時点で決着が付いているはずなのです(あ、このあたりは「訴訟」タグの過去ブログを読んでみて下さい(笑)。)。
この「何かあったらよろしくね!」発想に立つと、それほど弁護士に頼むようなこともないし、無駄に顧問料を垂れ流しているだけのように思えます。
しかし、私(荒木)はそもそも「何かあったら」というところから考えているのがボタンの掛け違いなのだと思っているんです。
企業の目的は何か、ということに立ち返って言えば、(企業によってばらつきはあるでしょうが)企業に利益が発生し、それが増大することであるはずです。
そして利益を得ようとするのであれば、当然、顧客や従業員、仕入れ先などと契約が発生するわけですし、行政の許認可や規制などもクリアしなければならないわけです。
すなわち、企業活動において法律が絡まないことなどほとんどなく、知らず知らず毎日法律に触れているものなのです。
そうであれば、法律のプロたる弁護士の出番がないわけがありません。
そして、本来の法律的なアドバイスの持つ意味というのは、経営者の意思決定基準を良い方向、適切な方向に是正する働きがあるはずです。
そのことからすると毎日毎日発生する法務に対して、毎度毎度の是正があったほうが、精度の高い意思決定ができることでしょう。
これを豪華客船に例えていうのであれば、一度に50度も60度も方向転換できるはずがなく、羅針盤に従って1度ずつ(というかもっと細かい単位で)行きたい方向へ舵を切って行くことに似ているかも知れません。
だからこそ、経営者の近くに存在し、細かいアドバイスが可能になるように顧問弁護士が必要ではないかを思うわけです。
一方で、「何かあったら」発想というのは、船が座礁したような場合にのみ弁護士を呼ぼうとするもの。
これだと浸水が止まらずに手遅れになって沈没が避けられないケースもありますし、仮に無事に港まで曳航できたとしてもその後の修繕費たるや馬鹿になりません。
船の進むべき進路を示す羅針盤として、顧問弁護士というものの価値を見直して頂ければと思う今日この頃です。