こんばんは、荒木でございます。
昨日は、青森県様、株式会社ビジネスマーケット様主催のこちらのセミナーでお話させて頂きました。
https://bizma.jp/aomori_pref/blogs/73
オンラインで受講者の方のお顔が拝見できない中で、かつわずかな時間でしたが、1つでも有益なお話を持って帰って頂こうと思い(というか既にオフィスや自宅なのでしょうがw)、お話させて頂きました。
そこで思いついたのが「M&Aにおける弁護士の役割」について。
ご存知の方はご存知でしょうが、M&Aと弁護士というとどうしても法務DD(デューディリジェンス)が念頭に来てしまいます。
DDとは、買手が売手の会社の内容を調べることで、法務以外にも財務や税務等のDDがあります。
DDをすることによって売手の会社の問題点を探し、それを価格交渉に反映させたり、場合によってはM&Aを断念したりすることもあります。
言ってしまえばDDとは相手の粗探しということですね。
また、もう1つの弁護士の役割というのが契約書の作成とそれに付随する交渉です。
M&Aにおいては、法律と契約の知識が必要なことが多く、それが先鋭化するのが株式譲渡契約や合併契約といった、いわゆる最終契約書における条件や文言になります。
そこでいかにうまく立ち回るかがM&A弁護士の花形と言えるでしょう。
しかし、そうやって考えてみると、世の中でいうM&Aのイメージと比べた場合、こうした弁護士の業務というのはかなり地味で部分的な仕事のようにも思えてきます。
M&Aというのは、売る側も買う側も非常に重要な経営判断の一つ。
もちろん、法的なリスクを指摘するようなことも経営判断に影響はありますが、副次的な意思決定基準のように思われてなりません。
弁護士がもっとM&Aの意思決定における中心的な存在になってもいいのではないか、と思っているわけです。
話は変わりますが、日本に弁護士の由来について聞いたことがあります。
(あくまで一説なのかも知れませんが)弁護士の由来は江戸時代の「公事師(くじし)」又は「公事宿(くじやど)」であったと言われています。
公事師は今でいう事件屋に近い存在だったようですが、公事宿は幕府公認のもので、訴訟をするにあたって江戸に上ってきた人に対して、宿を提供するとともに、訴訟手続の代行や指南をする役割もあったそう。
まさしく「訴訟の水先案内人」としての役割を担っていたと言えるでしょう。
だからこそ、ある程度、手続が固まってきているとはいえ、一般の中小企業経営者までは浸透し切っていない「M&A手続の水先案内人」としての弁護士の役割があってもいいように考えています。
DDをやるだけが弁護士じゃない、契約書を作るだけが弁護士じゃない、紛争に発展したら呼ばれるだけが弁護士じゃない。
そう考えてみると、もっとM&Aの中心的なところで活躍の場があってもおかしくありません。
そんなわけで来年にはなってしまいますが、従来の弁護士とは異なったM&A業務へのアプローチを試みたいと考えておる次第です