おはようございます、荒木でございます。
今日から久々の九州への出張です。
さて、弁護士業をしていると思うことですが、経営者の士業に対する接し方というのは、実は千差万別だったりします。
その変数というのも2つの軸があるように思います。
1つが会社の意思決定においてどの程度まで重要視するかの度合い、もう1つが会社における地位の高さです。
1つ目の軸というのは、簡単にいえば「会社の意思決定をどの程度まで委ねるか」という水準です。
「弁護士の言ったことはそのままスルーで採用して、相手方に投げる」というところもあれば、
「弁護士の言ったことを元に資料を作り、取締役会にかけてから意思決定をする」というところもあれば、
「一応、意見だけもらっておく」というところもあります。
このどれが正しいかということはありませんが、「スルーで採用」というのには会社の意思決定としてリスクが伴います。
それというのも、専門家の判断と会社の採るべき意思決定基準は異なるからです。
例えば、弁護士からのアドバイスであれば、違法を避けるべきという内容はなくてはならないもの。
もちろん会社としても真正面からの違法行為を行うことは厳に慎むべきでしょうが、「場合によっては債務不履行になるかもしれない」といったことだったり、「今はないが、今後は規制されるかもしれない」といったことだったり、程度によってはある程度踏み込んだ経営判断をしなければならない場面もあります。
その意味においては、士業の意見が会社の意思決定の全てになってはいけないこともあるでしょう。
その匙加減については、経営者の感覚とセンスが問われる部分になります。
2つ目の軸は、簡単にいうと「先生として扱っているか、業者として扱っているか」という違いです。
もちろん、士業も依頼者からお金を頂いているものですので、業者としての側面を持っているのも事実ですし、何か会社よりもえらい立場を有しているという確たる根拠もありません。
ただ、伝統的には士業は、経営者から「先生」と呼ばれ、一定の高い地位を与えられてきたのも事実です。
では、経営者目線で見た場合にどのような地位として士業を扱うのが望ましいのでしょうか。
これも一律に答えが出せる問題ではないですが、少なくとも「専門家としての一定のリスペクト」を持って接することは必要なのではないでしょうか。
その理由の1つとしては、士業に限らずどんな人でもそうですが、尊敬の念を示してくれている人に対しては「この人(会社)のために力を尽くそう」と思うものであり、パフォーマンスを上げて対応してくれるということが挙げられます。
もう1つの理由が、専門家としての意見を尊重する態度がなければ、結局、会社として専門家の知見を活かした意思決定ができないからです。
かく言う私(荒木)も、労働法上の論点について意見を求められたので意見を述べましたが、「そんなはずはない、うちの考えが通らないなんておかしいでしょう!?」と散々詰められたことがあります(汗)。
それだと何のために弁護士のところに来ているかわかりませんし、そんな言いぶりで事件を依頼されてもこっちもやる気になるわけがありません(苦笑)。
そんなわけで、経営者の立場からすると士業との接し方というのは、考えなければならない部分があることがお分かり頂けたのではないでしょうか。
いま士業と付き合っている経営者の方は一度立ち止って考えることでより良い関係性を見出せる可能性もありますし、まだ付き合いのない経営者の方は新たに士業と付き合うことによって会社経営にプラスの要素を見つけ出せることもあるでしょう。
あ、ちなみに当事務所の顧問契約の枠には若干の余裕がございますので(笑)。