こんばんは、荒木でございます。
またもや間が空いてしまいました(汗)。
一昨日は、成年後見人の案件で出張した後、苫小牧の顧問先様のところを訪問、そして苫小牧商工会議所を訪問して参りました。
苫小牧商工会議所の件は、単純な案件対応や営業というものではなく、もう少し大きいことを温めている件になります。
こちらはもう少し形ができてきた段階でしっかりとお話したいと思います。
さて、私(荒木)の本業である弁護士業について、その中でも顧問業務を中心とする企業法務でどのようなことが得意なのか、荒木は何ができるのか、というご質問を頂くことが度々あるため、実際の事例からご説明してみたいと思います。
先日、某県一体で小売業を展開されている会社の、経営幹部の方からのご相談を頂きました。
その内容というのが「自社ブランドを作るにあたって、商標登録をしたほうがいいか。」というもの。
かなり一般的な企業法務の相談です。
これに対して私(荒木)は、商標法の建付けについて説明したうえで、商標が侵害されてしまうリスク、逆に自社が商標権を侵害してしまうリスクを説明した上で、区分があることやどのような商標の出願をするかによって権利範囲が異なってくることなどを解説しました。
この辺りは、企業法務を一般に取り扱っている弁護士であれば序の口なところ(それほど簡単とまでは言えないかも知れませんが。)。
結論としては、何を守りたいのかを明確にしたうえで、可能な範囲で商標権を取りましょう、というごくごく普通の結論をお伝えしました。
しかし、ここからが私(荒木)の特有のものかわかりませんが、どうもご相談の背景やどのような思考過程を経てきたのかが気になるところで、そのような話を振ってみました。
そうしたところ、この方は、内部事情があって商標出願の話は表立って会社の稟議として上げられないため、それを何とか迂回してプロジェクトを進めたい意向があるとのことでした。
確かに、稟議を上げられないとすると、商標権を取得することは単純には進まない話なわけですが、私(荒木)は迂回する方法を採ることにどうも違和感を覚え、「そもそも、稟議を上げないで事を進めることは大丈夫なんでしょうか。」と述べ、迂回する方法で進めることのリスクをいくつか上げました。
このような話は完全にアドリブで、かつ、法律論ではない部分もあります。
そしてこのような話をすることが場合によっては、単なるおせっかいであり、ご相談の方から見れば蛇足にしか思われない部分もあるでしょう。
しかし、その部分を放置したまま進めると、何らかの形で事故が起こる可能性が高いと判断したため、口幅ったくも進言した次第でした。
これに対するご相談者の方は「いや、その発想はなかったです!確かに大きなリスクになりますね!」として、商標の話云々よりも迂回手法を採るリスクが高いことに合点された様子でした。
「リスクに気付けて本当に良かったです!」とも仰って頂き、大変に感謝されたものと理解しています。
本来的に弁護士の仕事というのは、多くの部分がお客様の要望事項に応えるという受動的なものですが、本来の価値は、そのような受動的な部分ではないと考えています。
それというのも、今のご時世であれば、知らないことはネットを叩けばいくらでも出てきますし、行政や裁判所もひと昔前に比べたら格段に優しく教えてくれるわけで、法律の素人であっても「これは心配だ。」「ここがわからない。」ということがあったとしても、弁護士の力を借りる必要性は低まってきつつあります。
そうであるからこそ、弁護士本来の価値は、単純に訊かれたことに100%の回答をすることではないと考えています。
では、何を提供するか。
抽象論でいえば「お客様の気付いてない価値を提供し、価値があるものと感じて頂くこと」ということになるのではないでしょうか。
今回の事例でいえば、「稟議を迂回することのリスクの存在の発見」というのが気付いていない価値であったといえます。
そのようなこと価値として感じて頂けるのであれば、お客様としては「望外の利」を得ることになります。
これこそが本来の価値提供ではないかと考えています。
私(荒木)の一つのスタイルとして、ご相談を一通り聞き取った後、「そもそも」という言葉を使います。
これはご相談者の方の目線を1段階なり2段階なり、抽象的な方向に修正して頂く意味を持った言葉です。
例えば、「この契約書でリスクになるものはありませんか。」という質問に対して、「これだと貴社の担保としては不十分ですね。」とか「この支払サイトだと貴社の資金繰りを圧迫する可能性がありますね。」といった回答はある程度の経験を積めばどの弁護士でもできるようになるでしょう。
しかし、私(荒木)のこだわり、又は矜持として持っているのは「関与した企業を良くする」ということにあり、この観点からすると不十分な回答であるということも往々にしてあります。
すなわち、この企業のための根本的な質問として、「そもそもこのビジネスって儲かる見込みあるんですか。」とか、「そもそもこの契約の相手方って大丈夫な会社なんですか。」というレベルに行き着かざるを得ないことが多くあります。
それというのも部分最適の問題と全体最適の問題もあるでしょうし、企業の考えている問題設定の範囲では解消しないリスクが生じているということもあるでしょうし、企業の風土や体質といった簡単に解消のできない問題を孕んでいることもあるからです。
ただ、弁護士であっても、そこまで突っ込んで考える人も、突っ込んだ話をする人も多くないんじゃないかと思っています。
冒頭の「企業法務でどのようなことが得意なのか」「荒木は何ができるのか」という質問に対しては、「労働関係が得意です!」とか「倒産事件はどんなことでも知っています!」という答えが綺麗なのでしょうが、私(荒木)の答えとしてはそうはならないわけです。
結果、「得意なことはそもそも論です!」という謎の回答になってしまうわけですが(笑)、実はそれこそがお客様の気付いていない潜在ニーズに最も答えられることであり、他の弁護士が提供できるものと最も差別化を図っているところではないかと考えています。
そして、こういった話は1回やれば済む話ではなく、何度も繰り返して問い続けることが必須なものです。
それによって少しずつ企業が変わり、良い方向に進んでいけるのではないかと思っています。
だからこそ私(荒木)は、単発で案件をご依頼いただくのではなく、顧問契約として継続的に関わらせて頂くことをお勧めしている次第なのです。
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