投稿日:2022年03月06日

【札幌 弁護士コラム】続・「弁護士やめたい」荒木の本音:プロジェクトベース、エフェクチュエーションで見た弁護士業務の限界とは

こんばんは、荒木でございます。

 

今日は少々時間ができたため、こっそりと野球(オープン戦)の観戦に。

(札幌では)隠れ巨人ファンの私(荒木)は、1塁側内野席から戦況を見守っていましたが、いいところなく、昨日に続いて連敗。

レギュラーシーズンに期待しましょう。

 

さて、先日、「弁護士やめたい」というブログを書いたところ、大変な反響を頂きました。

 

【札幌 弁護士コラム】私(荒木)が「弁護士やめたい」を連呼する、本当の理由とは

https://feelist-srv.sakura.ne.jp/02_test_site/answerz_test/law_blog_all/post-5836/

 

ここで書いたことは、簡単にいえば「渦に巻かれるのではなく、渦を巻こう」といいうお話でした。

このことを敷衍するとすれば、「プロジェクトを作ろう」という話につながってくるのではないでしょうか。

 

考えてみると、企業を経営するというのは、表面的に見ればルーティーンの連続かも知れません。

しかし、そもそも起業するということ自体がプロジェクトですし、会社の役職員を加えることもプロジェクトであれば、会社資産を購入することもプロジェクト、業態の拡大・転換もプロジェクトと、プロジェクトのオンパレードなわけです。

 

ただ、これの受け止め方が主体的であるのか、受動的であるのかで見方は変わってきます

同じ会社の中でも、プロジェクトを統括するようなリーダーであれば、渦を巻いている感覚があるでしょうし、一方でただ上司に言われただけのことをやっているようであれば、渦に巻かれている感覚しかないでしょう。

 

このことはあるプロジェクトに外部から関わる人も同じなのではないでしょうか。

すなわち、プロジェクトの根幹部分にコンサル等として関わる人であれば渦を巻く感覚というものがあるでしょうし、単なる下請けをやるようなことであれば渦を巻く感覚というのは乏しくなります。

 

では、弁護士はどうか

これが残念なことに、プロジェクトベースで見た場合には渦に巻かれることが大半であることを認めなければなりません。

例えば、M&Aであれば買手の会社やFAが購入の意向を固めてから法務対応を弁護士に投げるわけですし、日常的な契約書のチェックなどでもビジネスの動きがあってから契約書の話になるわけです。

こういった見方をしてみれば、弁護士という人種は、偉そうな口を利く割には(笑)受動的にしか仕事をしていないことがわかります。

 

そして、重要な問題として上がるのが、「お金がどのように動くのか」という問題です。

これは誰が贅沢な生活ができるか、という議論ではなく、ビジネスの核心部分に対してお金が動くと見たとき、どこにお金が発生するのかを見ると「渦の中心」のではないかという議論です。

こうやって見た場合にも、やはりM&Aであれば売主、買主にお金が発生し、次にFA、最後に弁護士を含む専門家、といった流れになってきます。

単に流れの問題以上に大きいのが金額の問題で、当然のことながら一番動きが大きいのが売主、買主であり、次にFAは売買代金額に応じて金額の多寡が決まるのが通常であり、弁護士を含む専門家はあくまでも「手間賃ベース」でしか報酬が発生しないのが一般的です。

昔、聞いたことがある話でいえば、「M&Aのクロージングが終わったとき、外資系投資銀行(FA)の人は1か月間のバカンスに出かけ、弁護士はその日から別の案件で徹夜している。」といった具合です(弁護士の報酬が安いとまでは言いませんが、そんなに楽はできないということの例えです。)。

 

また、別の角度としてエフェクチュエーションの視点から見た場合、「asking」という技法が大切になってきます。

このaskingは、sellingと対立する概念であり、何かを具体的に依頼するということではなく、プロジェクトを一緒にやって行こうとする声かけのようなものとご理解頂ければと思います(エフェクチュエーション全体の理解がないと説明が難しい部分がありますが、紙幅の都合上、割愛させて頂きます。)。

そうした前提で、弁護士業務において「プロジェクトなしに、askingができるか。」という問いにはNoと言わざるを得ません。

すなわち、弁護士業務はプロジェクトベースに乗っていないために、「(弁護士以外に)弁護士業務を一緒にやろう。」というのはまず難しいことですし、弁護士が何かしら声を掛けるとしたら「顧問契約してください。」とか「交通事故案件はうちに依頼してください。」といったようにわかりやすいsellingにしかなりません

もちろん、sellingがやってはいけないことではありませんが、sellingもaskingもできる業種や人に比べたらどうしても周囲を巻き込むという意味においてはできることが限られてきます。

 

こういったことを含めての「弁護士やめたい」という発言であったということです。

 

人を巻き込んで、何かを成し遂げる、ということをするためには既存の弁護士業務の発想を一旦は捨てることが必要になります。

しかし、「三つ子の魂百まで」とはよく言ったもので、弁護士業を3年もやれば、弁護士業の感覚を捨てるというのが容易ではなくなってきます。

私(荒木)は、その固定観念に対して「何かおかしいな~。」とずっと思っていたわけですが、ようやくその感覚から離れられ始めたような気がします。

そうした途端、他の弁護士の先生方と全く話が合わなくなってきたこともまた、実感しています(笑)。

 

ともあれ、毎度の結論ですが、こんな私(荒木)を生暖かく見守って頂ければそれに勝る喜びはありません。

 

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