投稿日:2022年01月29日

【札幌 弁護士コラム】中小企業経営者にこれだけは知っておいてほしい法律のお話(4):倒産?M&A?正しい事業の終わらせ方、引継ぎ方

おはようございます、荒木でございます。

 

少々間隔が空いてしまいました(汗)。

久しぶりに土日に何もないので、事務所で投資案件のDDと契約書対応です。

 

さて、中小企業法務シリーズ第4回(最終回?)は「会社の引継ぎ方、終わらせ方」です。

 

起業するときには夢と希望いっぱいで始められるもの。

しかし、始まりがあるものには必ず終わりがあります。

ただし、事業自体が生きているのであれば、事業を引き継ぎ、永続させることも可能であるのが会社として事業を行うことの特性でもあります。

 

では、事業を終わらせる、又は引き継ぐパターンとはどのようなものがあるか、パターンを示します。

ごく簡単に整理すると、(1)会社が黒字か赤字か、(2)事業が終わるか引き継ぐか、という2×2のマトリックスで考えることになります。

 

パターン1:廃業(黒字×終了)

第1のパターンは、会社を清算し、残った財産を株主に分与して終わらせる廃業のパターンです。

事業は好調であるものの、経営者において他者に引き継ぐ気がない、又は引き継いでくれる先がない、という場合には廃業となります。

最近、よく指摘されるのが廃業すると事業価値があるのにもかかわらず、もったいないということで、事業承継やM&Aに極力移行させるべきではないかとの向きが強まっています。

 

パターン2:倒産(赤字×終了)

第2のパターンは、会社の赤字の返済を断念し(平たく言うと借金を踏み倒し)、事業を終わらせるパターンです。

多くの場合は、破産手続によりますが、場合によっては特別清算になることもあり、一方で法的手続ではない任意整理の場合もあり、(勧めるものではないですが)夜逃げによる場合もあります。

事業運営は容易なものではないため、結果的に赤字を解消できなくなるケースがあります。

その場合にきちんとした整理を行って事業を閉じることもまた経営者の責任であるといえます。

 

パターン3:事業承継、M&A(黒字×引継ぎ)

第3のパターンは、経営者単位でみた場合に、事業を第三者に引き継ぐものです。

一応、親族に引き継ぐ場合には事業承継と言われており、親族以外に引き継ぐ場合にはM&Aと整理することが一般的かと思われます。

事業承継の場合には株式を譲渡することがメインになりますが、その場合に株式を買い取る資金の調達や、株式の譲渡に当たって発生する譲渡所得等の税金の発生が問題になります。

一方で、M&Aによる場合にも株式譲渡によるケースが多いと思われますが、事業譲渡、合併等の方法もあります(具体的な中身については別稿に譲ります。)。

M&Aの場合には譲渡先の発見が大きな課題となります。

 

パターン4:事業再生(赤字×引継ぎ)

第4のパターンは、赤字の事業ではあるものの、他者に引き継いで黒字化を図るものです。

これも様々なパターンがあり、民事再生によるものや会社更生によるもののうちスポンサーが付くもの、赤字であってもいわゆる「のれん」があることからM&Aで値段が付く場合、事業再生ファンド等からの出資を受けて再建する場合等があります。

いずれにしても難易度が高くなることが予想されることから、基本的にはこのパターンを目指して経営を行うべきものではなく、核となる事業価値を残したい場合にこの方法に行きつく場合がある、といった程度に考えておくべきでしょう。

 

以上のように、事業の終了、引継ぎのパターンは複数あり、それぞれにメリットとデメリット、また可能なタイミングが異なります。

従って、漫然と事業を継続しているとタイミングや適切な手法を取り逃してしまうことがあります。

よく言われることですが、早めに(例えば経営者が60歳になったら)そういった専門家に相談しておくことが重要でしょう。

 

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