こんにちは、荒木でございます。
今日は朝から業務処理を行い、午前中にM&Aのセミナー(聴くほう)、午後は赤平への出張です。
ということで出張の合間にこの記事を書いております。
さて、中小企業法務第3回は「株式」についてです。
ご覧になって頂いている株式会社と有限会社の中小企業経営者の方は、大半が自社の大株主なのではないでしょうか。
「え、そうなの!?」という方、自社の株主名簿を確認してみてください。
「え、株主名簿ってどこにあるの?」という方、いつ、どうやって自社が設立されたか、その時の株主は誰か、譲渡や相続されたことがあるかについて、わかりそうな人に訊いてみてください。
ちなみに株主は登記に書かれているものでもありませんし、自動的に誰かが作ってくれるものでもありません。
基本的に代表者が(誰かに指示してもいいですが)作るものですので、ご自身が作った記憶がないならば経緯を調べて作って頂く必要があります。
「でも株主がわからなくても代表者と役員がわかればいいんじゃないの?」という声も聞こえてきそうです(汗)。
株式会社は会社法でルールが決められているのですが(有限会社は以前は有限会社法でルールが決められていましたが、簡単にいうと現在の会社法に吸収される形になっています。)、会社法では株主(株主総会)が役員(取締役、監査役)を決めることになっており、取締役会又は取締役の互選で代表取締役が決められることになっています。
だからこそ、株主なくして取締役も代表取締役もないわけで、株主を明確にしておく必要があるのです。
「そうは言っても今は会社が回ってるから気にする必要ないんじゃないの?」という声もあるでしょう。
実際にそのような会社さんは非常に多いです。
しかし、株主を把握していないことのリスクは大きく3つあります。
1つ目は、買収されてしまうリスクです。
「うちはそんなことあり得ないだろう。」とおっしゃる方も多いと思います。
しかし、近時は大企業でなくともM&Aの話は普通に回ってきます。
そんな中で経営者が最大株主でないような場合には、大株主が勝手に株式を譲渡してしまえば、簡単に経営権はなくなってしまいます。
世の中には「上り坂、下り坂」に加えて「まさか」がありますので、注意しておく必要はあるでしょう。
一方で、株式の譲渡を希望する側にとっても、株主が誰か明確でなければ譲渡しようがない、という状況が生まれて困ることもあります。
2つ目は、事業承継の問題です。
株式というのは、会社の資本であり、株主の個人資産になります。
そして、事業承継において必要なのは、代表取締役の地位の承継と株式の承継が必要とされています。
株式の承継が適正になされなければ、代表者といってもその根拠が非常に不安定になってしまいます。
そして、株式を譲渡するに当たっては、(黒字企業では)贈与税が問題になることも多く、その対策のためには株価を下げるなどの対策が必要です。
これにあたり、株主が誰であるかわからなければ対策のしようがありません。
この意味でも株主の把握というのは重大な要素となります。
3つ目は、株主、役員が死亡するリスクがあるという問題です。
上記のとおり、株式は株主の資産ですので、株主が死亡したときには相続が生じます。
ここで、株主が何株を持っていたかわからなければ相続手続ができませんし、相続トラブルになることもあります。
また、役員が死亡した場合に株主が不明であれば、株主総会を開くことができず、次の役員が決められないという状況に陥ってしまいます。
この点でも常に株主を把握しておく必要はあります。
このように、株主を把握しておくことは中小企業において必要ですし、株主にとっては財産である株式を把握しておくこともまた必要です。
会社において株式に対する意識は高いものではない場合が多いですが、重要性を改めて認識して頂ければと思います。
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