おはようございます。
年明けから心を入れ替えてブログを再開して3日目。
今日で途切れてしまったら文字通りの三日坊主です(笑)。
そうならないよう明日以降も頑張ってまいります。
さて、しばらく積ん読になってしまっていた西田章先生著の「新・弁護士の就職と転職――キャリアガイダンス72講」を読み始めました。
https://www.amazon.co.jp/dp/4785728345/ref=cm_sw_r_li_dp_R5J605GF54565012CR1N
こちらの本は主に新人、若手弁護士向けに書かれた本ですが、私(荒木)のような立場からすると、新人、若手の弁護士がキャリアをどのように見ているのかを知るために非常に有用なものとなっています。
私(荒木)もきちんとこの本の前の版を読んでいれば、こんなよくわからないキャリア(東京の大手法律事務所のアソシエイト→札幌でのイソ弁→独立→コンサル会社設立、社外役員)になっていなかったものと考えることがあります(まぁこのキャリアはこのキャリアで面白いとは思っていますが。)。
ともあれ、その本の中でも指摘されていることですが、弁護士業界のターニングポイントは、私(荒木)が弁護士になる前後あたりに発生しました。
法務省が弁護士の増員を掲げ、1年間の司法試験合格者数を3000人まで引き上げる目標を定めるとともに、ロースクール制度の拡充が始まった時期です。
しかし、折しもサブプライムローン問題、リーマンショックの時期に重なり、新人弁護士の雇用が拡大するどころか、外資系の事務所であれば日本の事務所を畳むところまで出始めることとなり、需給バランスが大きく崩れることとなってしまいました。
このため、就職できない弁護士が出てきてしまい、「ノキ弁」(軒先を借りる弁護士という意味であり、法律事務所に所属しながらもそこから給料はもらえず、場所だけ借りて独立採算でやっている弁護士)、「宅弁」(自宅弁護士という意味であり、事務所を借りずに自宅で業務を行う弁護士)、「即独」(即独立の略語であり、勤務弁護士(イソ弁)の経験なく、弁護士資格取得後、直ちに独立する弁護士)といった類型が出てきました。
この頃から徐々に弁護士の職業としての人気は下降線に入り、追い打ちをかけるように、それまで支給されていた司法修習生に対する準国家公務員としての給与が打ち切られ、貸与制になるという制度改正が行われることで、一層、弁護士の人気は下降していきました。
このような中で、弁護士の活動エリアが地方に拡大していったことでいわゆる「ゼロワン地域」(各裁判所の本庁、支部の管轄エリア内で弁護士がゼロ人又は1人の地域)がなくなるとともに、これまで一般企業では難しいと思われてきた「インハウスロイヤー」(企業内弁護士)が一定の企業で生まれることとなりました。
これらの状況は、弁護士のアクセシビリティ又はアベイラビリティを高めることになりましたが、同時に弁護士に対する見方も変えることとなりました。
それまでの弁護士業界というのは、(聞きかじった話ですが)「仕事を断るのが仕事」と言われていたように、普通にやっていれば圧倒的に弁護士の供給不足状態があり、まさに売り手市場だったと言われています。
もちろんその中でも営業の巧拙などによって弁護士1人あたりの収入や仕事量は違っていましたが、「頑張っても食えない」という状況はまずないのがこの業界でした。
それがこの大増員時代になったことで「食えない弁護士」というのが出てきたことにより、世間からの見る目も変わってきました。
分かりやすく言ってしまえば「殿様商売」として成り立ってきたものが、「武士の商法」に変わってしまったと言っても過言ではないでしょう。
「過払金バブル」があった平成25年ころまではまだ過払金で食えている状況がありましたが、それ以降は「大手の街弁事務所」とでもいうべき街弁業務(交通事故や離婚などの一般民事業務)を受ける全国規模の事務所が台頭し始めました(母体が過払金で儲けたという理由もありますが。)。
札幌などの地方都市では、イソ弁が独立するにあたっても、1人で独立するのではなく、同期や期の近い先輩、後輩と共同で独立する共同事務所方式が増加する傾向が見られ始めました。
このような背景を前提として、弁護士がどのように見られるようになってきたかを書きたかったのですが…、ずいぶん長くなってしまったので明日に続けますm(_ _)m