投稿日:2021年04月28日

【札幌 弁護士コラム】ファイナンスのお話(4):法務DDって何やってるの?(2)

こんにちは、荒木でございます。

 

またしてもずいぶんと間が空いてしまいました(汗)。

 

DD(デューディリジェンス)のお話をしておりました。

法務DDの目的として偶発債務の発見がある、というお話ですが、まず偶発債務とは何だろうか、ということから説明していきたいと思います。

偶発債務、というと読んで字のごとく「偶然に発生した債務」と考えてしまうかもしれませんが、意味合いとしては少し違います。

偶発債務の意味を理解するには、偶発債務じゃない債務というのが何か、ということを考えればわかってきます。

偶発債務じゃないものというのは、帳簿に記録された債務であり、言葉を変えると売手会社において認識していた債務、ということができます。

その逆を考えると、偶発債務とは、帳簿に記録されていない債務ということがわかります。

 

では、具体的に偶発債務にはどんなものがあるか。

会社における経済活動は多種多様ですので、様々なものが考えられますが、一番ありがちなのは未払い賃金ではないでしょうか。

「え?会社が給料を払ってないの?」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、故意に賃金を払わない会社は論外であるとしても、残業代に関しては会社それぞれの計算方法ではカバーされていない部分が労働時間として認められるケースもあります。

例えば、始業時刻の前に数十分かかる準備作業をやらせている会社であったり、終業時刻後に強制参加の研修をやらせている会社であったりすると、それらの時間が残業代として算入されていないこともあります。

こういったものがあった場合、それを知らずに買手会社が買ってしまうと、後々になって買手会社が支払わなければならないことになってしまい、損をしてしまいます。

他には、従業員が事故を起こして損害賠償をしなければならないのにその金額が載っていないということであったり、化学物質で汚染された土地を所有しているのに土地の価値が通常の土地として算定されている場合などが挙げられます。

 

こういった事象が発生することに対し、法務DDでは各種の資料の検討やヒアリングによって、偶発債務が生じるのか否かを1つずつチェックしていきます。

そして偶発債務が発生していることが明らかになり、又は発生する可能性があることが発見された場合には、それを売手と買手との間の契約に反映したり、譲渡価格に反映したりして、偶発債務によって買手が損をすることを防いでいくことになります。

このように法務DDは、買手として予期していなかった損失を事前に防ぐという意味で重要な手続きであることがお分かりいただけたのではないでしょうか。

 

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