こんばんは、荒木でございます。
少々ご無沙汰しておりました。
最近、結構に集中的に案件のご依頼があり、嬉しい悲鳴を上げております。汗
さて、今日は、スポーツチーム2つを含む20社(!)のオーナーをされている方と、すすきので複数店舗の飲食店を経営されている方とお話をしてきました。
ご案内の通り、すすきのの飲食店はコロナ禍以降は、諸悪の根源と言われんばかりの勢い。
多くの店舗が売上げ減、それも未曽有のレベルでの減少に見舞われています。
しかし、弁護士として一方で感じているのは、「そこまで売上げが下がるんだったら会社としてやっていけないし、オーナー個人としてもやっていけないから、倒産案件がもっと増えるんじゃないの?」ということ。
具体的な統計データを持っているわけではありませんが、実際の肌感覚としては、すすきの関連では倒産が増えているという感覚は全くありません。
そのあたりの実際のところがどうなのか、という話を詰めて参りました。
そうすると、「すすきのの飲食店はコロナの発生源」、だから「すすきのの飲食店は壊滅状態」、だから「すすきのの飲食店はバタバタと潰れて行っている」とイメージがちょっと違うんじゃないか、という思いに至りました。
まず第一には、飲食店の固定費は何か、ということです。
経営がわかる人にとっては飲食店は薄利である、というイメージがあるでしょう。
いわゆる経常利益としていうのであればいくら頑張っても、売上げの3割が食材費で、同じく3割が家賃と人件費で消えて行って、経常利益が3割残れば御の字、という感じでしょう。
しかし、食材費は変動費である以上、売れなければ基本的には発生しないものであり、固定費の主たる部分である人件費は雇用調整助成金で今のところ賄われています(中小企業であれば緊急対応期間中は100%賄われます。)。
残る部分は家賃なわけですが、これも法人であれば600万円まで、個人事業主であれば300万円の家賃支援給付金が支給されています。
家賃については満額ではないわけですが、ことすすきのエリアの家賃というと、あくまで相対的なものですが、他の都市部の歓楽街の家賃相場よりは安く設定されています。
そう考えてみると、営業していなければ固定費は基本的に家賃が大部分であり(もちろんリース、月額基本料の発生するような契約もあるでしょうが)、その一部は給付金で賄われているわけです。
次に、営業協力支援金です。
すすきのの場合、現在、夜10時までの営業短縮要請があり、これに協力すると営業協力支援金として1日あたり2万円がもらえることになっています。
「なんだ、2万円しかないのかー。」というのがよく聞く話なわけですが、これを満額もらうとすれば月額最大で62万円になるわけです(対象日数等の調整はあるでしょうが。)。
これって実は大きくないですか、ってことです。
満額もらえてもそれで家賃が払えないってお店って実はすすきのでは多くありません。
オーナーとその家族の人件費を除けば、統計的に見て、1店舗当たりでは結構な確率でお釣りがくるのではないでしょうか。
そうするとこれで固定費は賄えてしまったりするわけです。
それも、完全休業ではなく、夜10時までは営業できるため、夜10時までの営業での利益は発生します。
こう考えてみると、実は結構いけそうな気がしてくるわけです。
固定費がなければ、実は商売というのはある程度は生きながらえることができるのが経営の基本的な考え方です。
しかも、いまはかなり緩く融資も受けられます。
「それならお前がやってみろよ!」という声が聞こえてきそうですが、それはお門違いというものです。
夜10時までの営業のノウハウがないわけですから。
あくまでもきちんとした飲食業のノウハウがあって、コロナ前までに一定の顧客がいたという前提で、それでも営業が立ち行かないのかどうか、という議論なのです。
報道のイメージだと、これだけ人がいなくて、今後もいつまでこの状態が続くかわからなくて、それでいて1日2万円しかもらえなくてどうするの?というのに共感してしまいがちですが、実際に数字に落としてみると、どうでしょうか。
それでも厳しい、感じる方もいるでしょう。
しかし、これだけ手当があるんだから、それで立ち行かなくなるのであれば、それまでの問題じゃないの?、と思う方もいるでしょう。
人それぞれの立場からしか意見が言えないことは百も承知ですが、M&Aや倒産に携わる立場からだけのコメントが許されるとするのであれば、「全然倒産件数もM&Aの件数も増えてないんじゃないの?」というのが正直なところです。
お話していた飲食店の経営者に言わせると、「今はただ守るべき時期にあるだけ。」とのこと。
これは至言であり、コロナだけが飲食店の盛衰を決めているわけではなく、外部環境として国際情勢もあり、気候変動もあり、人の趣味嗜好もある中で、飲食業は変化対応業としての意味もあるわけです。
そう考えると、厳しい見方をすれば、事業として見ればコロナ禍という1つの変化だけに翻弄されているわけにいかないはずです。
私(荒木)は、すすきのヘビーユーザーですし、すすきのには元気になってもらいたいという思いも強くあります。
実際に飲食店関係のクラウドファンディングには既に○十万円は入れています。
だからこそ、自らの感覚だけではなく、客観的な数字や他分野からの意見も鑑みて考える時期になっているんじゃないかと思った次第です。
長期的にはきっと何らかの生き残る途はあるはずです。
頑張れ、すすきの!
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