こんにちは、荒木でございます。
今日は朝から著作権法に関するご相談、夕方に離婚に関するご相談が入っております。
来週、東京出張の予定でしたが、緊急事態宣言の発令により取りやめることになりました…。
いつになったら気兼ねなく移動が可能になるのでしょうね。
さて、先日来続けております「職業」と「ビジネス」の違いについてのお話の続きです。
弁護士業はなぜ儲からないか、ということについてお話してみたいと思います。
え?弁護士って儲かってるんじゃないかって?
確かに一般的にはそう思われがちですよね。
もちろん、気合と根性があれば長時間働いて、それなりの年収になっている人はいます(というか結構います。)。
ただ、構造的に弁護士業が儲かりやすいかどうか、という観点から見てみるとそのような構造になっていないことがおわかりになるかと思います。
(1)メンタルブロックがある
弁護士法第1条第1項には、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」という規定があります。
これが弁護士の根本原理として定めれられているものであり、弁護士の行動規範とされるものです。
必ずしも弁護士業で儲けを出してはならないと規定しているものではありませんが、儲けを出そうとすると随所で引っかかってくるのも事実です。
法律ではありませんが、弁護士会内部の自主規制ルールとして弁護士職務基本規程というものがあります。
この第24条には「弁護士は経済的利益事案の難易時間及び労力その他の事情に照らして 適正かつ妥当な弁護士報酬を提示しなければならない。」と定められています。
もちろん、この規定も儲けてはならないことを規定するものではなく、暴利行為を禁止しているだけですが、報酬が高すぎるとして懲戒処分を受ける根拠規定になっていたりもします。
これらの規定があることから、弁護士が儲けることにはどうもメンタルブロックを感じるような部分があり、何となく「儲けちゃいかん」的な風潮があることが否めません。
(2)(超)労働集約型の事業である
弁護士業は、基本的に弁護士が手を動かさなければ報酬が発生しません。
他の士業も労働集約型と言われることもありますが、実の所は、税理士も行政書士も社労士も、相当な部分は無資格者の職員に任せることが容認されています(規則として容認されているのか知りませんが、実態としてそのような状況があることは明らかです。)。
しかし、弁護士業になってくると、裁判所は弁護士が行かなければならないですし、法律相談も弁護士が受けなければ報酬をもらえないですし、書面作成にしても少しでも応用が必要な書面になってくるとスタッフに任せることは難しくなってきます。
このため、弁護士が労力を分散させようとしても自ずから限界が生じるのであり、その意味で業務が弁護士に集中する超労働集約型事業であるといえます。
(3)手離れが悪い
上記の2つはある程度、医師業と近い部分があるかも知れませんが、医師業と大きく異なるとすれば、案件1件の手離れが悪いことが挙げられます。
もちろん、医師業であっても長期の入院患者さんを診ている場合であれば長期化することもないではないでしょうが、多くの場合、(いいかどうかは別にして)3分とか5分とか診察して薬を出して終わり、というのが一般的です。
こういった業務は弁護士には存在しません。
法律相談を受けるとした場合、事前にまとめを作って来てもらうなどの手法もないではないですが、いくら巻いても30分から1時間はかかります。
そして個別案件を受けるとなれば数か月単位の仕事になりますし、訴訟に至ったりすれば数年単位の仕事もザラに発生します。
このため、より利益率の高い仕事にシフトしようとしてもなかなか現状の仕事から手を離せないというのが現実です。
以上の3つの点は、まさしく弁護士業が「職業」であるから発生している課題であると考えられます。
「まぁ弁護士ってそんなもんだよね。」と考えるのも一考ではあります。
しかし、弁護士が経済的に安定していなければ、いい仕事はできませんし、実際、成年後見人になった弁護士が横領をしているような事例では、食い詰めた弁護士がやっているケースが多いと聞きます。
弁護士が儲からないことは、弁護士だけの問題ではない部分もあるわけです。
やはりそんなことを含めて、「職業」と「ビジネス」を分けて考え、ビジネスを行うという観点は弁護士にとっても非常に重要ではないかと思った次第です。
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