こんにちは、荒木でございます。
今日は訴訟の第1回期日に出席し、午後にはweb会議が1件です。
弁護士として動いていると、時に「どこまで強く言っていいのか」という場面や「どこまで意思決定に関わっていいのか」という場面があります。
弁護士の基本的なスタンスとしては、アドバイザリーであり、代理人であり、手続請負人であるわけで、本来的に依頼者の方の意思決定を代行してはいけないものと私(荒木)は思っています。
だからこそ、語弊を恐れずにいうと、弁護士の意見を採用するかどうかは依頼者の判断であり、依頼者の判断の結果まで弁護士が責任を負うべき立場にはないと考えています。
そこまで言ってしまうと「じゃあ適当なアドバイスをして、結果は知らんというわけか!」という声が飛んできそうですが、そこはアドバイスと意思決定は切り離して考えて頂かなければなりません。
仮に意思決定の結果まで責任を負うんだとすれば、会社であれば代表取締役と同等の立場になってしまいますし、個人であっても人生レベルでの意思決定をすることになるわけですので、到底、そこまではできるものではないでしょう。
という弁護士の立場をご理解して頂き、ご用命を頂くのが原則にはなっていますが、最近、これと異なったニーズも感じるようになっています。
それというのが「こうやれ、といってニーズ」です。
すなわち、弁護士の意見で意思決定をしたいというニーズです。
昨今のコロナ報道では、感染症の専門家がコメントしていたり、ウイルス研究の専門家がコメントしていたり、数理研究の専門家がコメントしていたりしますが、これらはあくまでも専門領域のコメントをすることが本来の仕事であるはずです。
すなわち、「コロナウイルスは拡大を続ける可能性がある」というのは専門家の領域ですが、「ロックダウンが望ましい」というところまで述べるとすれば専門領域を外れたコメントになります。
それというのもロックダウンをするという決定は政治的なもので、政治家が決定すべきものだからです。
上記で述べたニーズの変化になぞらえるとすれば、政治家が専門家に対して、ロックダウンをするべきか否か、といった意思決定までも委ねようとする、ということを意味します。
このようなことがいいのかどうか、というのは判断が分かれるところでしょう。
専門家の意見を尊重すること自体は素晴らしいことだといえますが、但し、それは経営なら経営の判断のごく一面的な切り取り方になってしまいます。
法務だけで成り立っている事業というのはおよそ存在しないわけで、営業があり、製造があり、人事があり、有機的一体として事業は成り立っているわけですので、一面的な判断を全てだととらえてはならないことはいうまでもありません。
一方で、個人についても同様のことが言えるのではないでしょうか。
例えば、離婚の相談を弁護士にしていたとしても、(もちろん離婚は大きい話ですが)離婚の他にも仕事があり、勉強があり、趣味があり、仲間との交流があり、親や親族との関係があって人生が成り立っているのですから、離婚に関する判断も弁護士のアドバイスがあったからといってそれが全てだと考えてはならないはずです。
専門家の述べることは尊重すべきであるが、一面的な結論だけで全体を決めてはならない。
このことは専門家からアドバイスを受けるとしたら常に意識すべきでしょうし、専門家としてアドバイスする側であればいかにいいアドバイスだとしても一面的な物にしかなり得ないことを意識しておかなければならないでしょう。
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