投稿日:2020年09月29日

【札幌 弁護士コラム】「売り込み」全面不要論:散々売られて来て思う商売の原点とは

こんばんは、荒木でございます。

 

今日は期日が2件と新規のご相談が1件ありました。

明日から久しぶりの東京ですので、それまでにやっつけなければならない仕事が山積みです(汗)。

 

さて、最近ちょくちょく思うのが「売り込む」というのは何だろう、ということです。

何らかの仕事をやっている方だと、みなさん思うことなのでしょうが、まぁ仕事時間中に割り込みで来る営業の多いこと、多いこと。

営業といっても、アポなしの突撃訪問から、アポ取りの電話、メールでの勧誘、ダイレクトメール、FAXDM、web広告、問い合わせフォームからの連絡、などなど考えてみればキリがありません。

売り込みに行ってそんなに売れるはずもないのに、よくこれだけ打ち込んでくるものだと思うわけです。

私(荒木)も、興味のない不動産を進められたり、何だかわからない金融商品を提案されたり、役に立つと思えないセミナーや教材の勧誘を受けたり、散々やられてきたわけです(涙)。

だからこそそんな営業に傾斜したやり方には疑問をもっているわけです。

 

そもそも、商品やサービスが売れるとはどういうことなのでしょうか。

ものすごく当たり前のことを言うなれば、「需要があるところに供給が行われる」ということが最もプリミティブな部分なのではないでしょうか。

ですので、すごく需要があるところに商品やサービスを投下すれば池の鯉に餌をやった時に集まってくるかの如く、凄まじい勢いで売れるものです。

記憶に新しいところでは春先のマスク需要などはまさしくこれでしょう。

 

しかし、このような状況が生まれることは統計的に見ればなかなか起こり得ないことです。

なぜならば、現代の日本は完全に供給過多の状況が生まれているからです。

そこで何が起こるかというと「競争」、すなわち、競合他社間での顧客争奪戦が繰り広げられるわけです。

そこで初めて営業が行われるようになり、営業の手法が多様化し、進化してきているわけです。

 

このように営業の起源とでもいうことを紐解いていくと、いくつかのことに引っかかるのではないでしょうか。

 

まずは、「供給が過多の分野に手を出してもしかたない」として需要が過多の分野にシフトしていくことが考えられます。

それがいわゆる「ニッチ戦略」になってくるわけです。

競合がいなければ営業を行わなくとも自然と独占市場ができてくるわけです。

 

次に、「本業は何だったのだろう」と思う瞬間がくるということです。

例えば、人を集めることだけはできるが、何のコンテンツもない会社が人を集め、金を取ったらどうなるでしょう。

まず、詐欺だということで問題が起こるようになるでしょう。

この意味において、商品やサービスにはコンテンツの質や特性といったものがあり、その中身を磨いていれば自然と集客はでき、本業に専念することができるわけです。

 

さらに、「営業をやりすぎるとすり減っていくのではないか」ということです。

営業を行うには、人的にも、資金的にも資源を投下しなければなりません。

うまく回っているうちには構わないことなのかも知れませんが、今回のコロナ騒動のような事件があれば、一気に回らなくなる瞬間が訪れることになります。

 

そもそもこう考えていくと、「営業をしないと売れない」という発想自体が間違っているのであって、適切に見込み顧客のニーズを汲み取り、それに見合った商品やサービスを提案したり、ニーズのある人に限って商品やサービスを提案することだけをやっていれば営業のコストなどそんなにかからないことになります。

 

例えば、今日お受けした法律相談などはまさしくそうで、(あまり詳しい事案はお話できませんが)個人の方がトラブルに差し当たって交渉を依頼できないかご相談にいらっしゃったわけです。

私(荒木)は、一通りお話を伺って、事案を解説して差し上げ、見通しとその相談者の方にいくらかかるか、ということを同時進行で考えながら話していたわけです。

そして出した結論が、「うちに依頼しないほうがメリットがありますよ」ということでした。

これは私(荒木)が断りたかったわけではなく、相談者の方の意向を踏まえて何が最適か、考えたところ、弁護士を入れないことが最適解であると思ったのでそうお伝えしたに過ぎません。

今回はご依頼がありませんでしたが、(単なる私(荒木)の思い込みですが、)今回のご相談者の方にとっては最適解を得られたと考えていらっしゃると思いますし、今後、この方から改めてのご依頼があるかも知れませんし、周囲の方をご紹介下さるかも知れません。

このような体験をしてみると「売り込む」ことなど、本当に必要なことなのか疑問に思った次第でございます。