投稿日:2020年09月12日

【札幌 弁護士コラム】事業のドメインの確立とは?何でも屋と言われないために

おはようございます、荒木でございます。

 

今日は恒例のお灸で体をメンテナンスした後、司法修習生との交流です。

 

さて、今日は「事業のドメインをどこに設定するか」という話です。

 

私(荒木)の顧問先様で医療系のベンチャー企業があります。

この会社は、ある特定の疾患に対する画期的な治療法を開発して、IPOを目指していますが、話を聞いてみると治療法が確立する前の段階でも十分に事業価値が認められることがあり、類似業種ではM&Aで売り抜けたところ(しかもかなりの高額で!)もあるそう。

さらに、治療法を確立するまでの段階で、細胞の培養技術や細胞を輸送する技術など、様々な技術を開発する必要があり、それの特許を取ってライセンスを発行することで商売もできてしまうのだとか(当然そんなに簡単なことではないと思いますが。)。

そんなわけで、本来の目的は治療法の開発なのですが、色々な部分においてビジネス的な旨味が出てくる部分があり、それらの誘惑と戦って、本流を貫かなければならない、というお話を幹部の方から聞きました。

 

このような話はどこの業界でもあるものです。

私(荒木)は、企業法務、その中でも予防法務を専門領域としていますが、やはり色々な話が持ち込まれるものです。

離婚、交通事故、債務整理、相続などは放っておいても「弁護士」という看板を掲げている以上は一定数のご相談を頂くことがあります。

人間関係などもあって対応している部分もありますが、しかし、その中でも専門領域以外についてはお断りすることも多く、それが本来あるべき姿だと考えています。

 

それというのもいくつかの理由があります。

 

第1には、専門領域に対する知識、経験、能力の涵養にあたって精力が分散することを避ける必要があります。

どの業界でもそうだと思いますが、競合他社がいる中で頭一つ抜けようとすれば、専門とする部分の能力を高めて競争力をつける必要があります。

そこで色々なことに手を出して精力が分散していれば、競合に勝てる可能性が低くなってしまいます。

 

第2に、外部から見た場合に何をやっているかわからなくなる、という問題があります。

例えば「弁護士」という看板だけ出していれば、離婚や交通事故のようないわゆる一般民事の分野の話というのは当然に来るわけですが、専門領域を設定している者にとっては自分と周囲との間で認識の齟齬があるという状態が出来上がってしまいます。

そうすると仕事の説明をするにあたってもコストがかかってしまいますし、齟齬があることによって満足な価値提供が阻害されてしまうこともあります。

 

第3に、自らの理念や目標、進むべき道がブレてしまい、自己重要感や自己肯定感が得られない状態が続いてしまうという問題があります。

人間の基本的な構造として、自己重要感や自己肯定感を得られることが究極的には最大の欲求なのではないかと思われますが、専門領域以外ということは自らの理念や目標の範囲外に存在する事象であり、いくらやっても自己重要感や自己肯定感が満たされることはありません。

いつしか「あー、今まで何をやってきたのかな」と振り返らざるを得ないタイミングが訪れてしまうものです。

会社勤めを続けて、会社に言われるがまま仕事をやってきた人などはこれに当てはまるかも知れません。

 

そのようなわけで「事業のドメインを確立する」ということは極めて重要なことなわけですが、必ずしも容易ではないことです。

しかし、これも一朝一夕でできることではなく、一歩一歩積み重ねを作っていくことが重要なのではないでしょうか。

 

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