こんばんは、荒木でございます。
今日は朝から土屋ホールディングスの取締役会、日中はドラフト作業と司法修習生への指導等を行っていました。
3週連続で司法修習生と大学生の研修生を受け入れていたことになります。
確かに大変なところはありましたが、若いエネルギーをもらい、初心を思い出させてもらい、なおかつ仕事に対するアイデアも色々と浮かぶところがあり、労力を使ったとしても十二分におつりがくるような3週間でした。
さて、前回からしばらく、書きたいことを書くことにしました(笑)。
最近は、私(荒木)が裁判所に行った話をすると、「裁判なんかやってるの??」と驚かれる方も多くなってきましたが(汗)、裁判もそれなりの数を抱えております。
そんな中で、和解についてのお話をしてみたいと思います。
和解というのは、定義としていうなれば、お互いの主張をそれぞれが一定程度譲り、落としどころを見つけて争いを終わらせることをいいます。
簡単にいえば、原告が1000万円を請求し、被告が600万円の範囲を認めている案件で800万円でケリをつけるような話です。
訴訟というと、必ず判決が下されるイメージが強い方もいらっしゃるでしょうが、実は判決よりも和解で終わる事件のほうがかなり多くなっているはずです(欠席裁判を除いた場合ですが。)。
手続の流れとしては、原告から訴状が提出され、被告から答弁書が提出されて訴訟が始まるわけですが、しばらくの間は双方から主張と証拠(書証)が提出されることが続きます。
そして主張と証拠の提出が一段落した段階で、裁判官から「和解の話をしませんか。」と持ち掛けられることが通常です。
この段階で和解の話ができないようであれば、証拠調べ(証人尋問)に移ることになります。
そして証人尋問が終わった段階でも再度、和解の打診があったりもします。
「何で訴訟を起こしているのに和解になっちゃうの?」という向きもあるかも知れません。
1つの答えとしては、裁判所が案件を見て第三者的にどちらが勝つのかを内心で判定する(心証を持つ)段階で、一定程度、判決の方向性がわかるため、負けそうな側が失点を最小限に抑えようとするからです。
一方で、勝ちそうな側にとっても、一定程度の勝ちが約束されること、控訴審までやらなくて済むこと、金銭請求をしている原告の場合には、和解のほうが払ってくれる可能性が高いことなどが、和解する理由として挙げられます。
和解になるか否かについては、双方当事者、双方の代理人(弁護士)、裁判官の(少なくとも)5者の利害関係があるため、それぞれの立場を慮る必要があります。
双方当事者は、自らの権利があるのかないのかを判定されるため、もちろん最大の関心を持っていることになります。
また、訴訟に出てきたものだけではなく、それ以前から争っているものですから、感情的にも最も根深いものを持っています。
双方の代理人(弁護士)は、通常、成功報酬がもらえるかどうかがかかっていますので、当然、自らの依頼者に有利になることを図ります。
しかし、一方で弁護士は複数の(場合によっては大量の)案件を抱えていることから、時間や労力の問題で和解を狙いに行くことも往々にしてあります。
裁判官は、双方当事者の利害については無関心であり、とにかく大量の案件を抱えているため、それを処理することが主目的になります。
そうであるため、判決となると判決書を作らなければならない労力がいることと、上訴審(控訴審)でひっくり返されるリスクがあることから、極力、和解になることを望んでいます(裁判官によってその程度は違うと思いますが。)。
このような利害の対立構造があって、その妥結点が見出されたとき、和解が成立することになります。
ここで、和解の成否についての生殺与奪を握っているのは実は裁判官である、ということを理解しておかなければなりません。
なぜならば、裁判官だけが案件の結論についての決定権限を持っているのであり、裁判官が敗訴判決を書くといえば、通常はその当事者は譲歩を行わざるを得ないからです。
以前、驚いたのは、私(荒木)の依頼者が負け筋の事件である段階で、和解協議がなされ、私(荒木)が依頼者との間で負けても控訴することを決めたうえで和解を蹴ったところ、「どうしてもそっちが負けるんだから和解に応じなさい。」的なことまで言われたことがあります(汗)。
裁判所って怖いところですね(笑)。
ともあれ、いつ何時、訴訟に関わらなければならないときが来るかわかりませんし、会社経営者であれば少なくとも予備知識として和解のことは知っておかなければならないと考えています。
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