おはようございます、荒木でございます。
今日は朝から土屋ホールディングスの取締役会と監査役会、昼には大学のOB会、その後は事務所に戻って作業という1日の予定です。
さて、今回も労働事件のお話を続けます。
今回は(労働者の)地位確認事件のお話をします。
好評だったため(?)Q&A方式を使ってみます。
Q:地位確認事件って何?
A:労働者の地位が今もあることの確認を求める事件です。端的にいうと、使用者が労働者を解雇したような場合に、その効力を争って労働者が賃金を受け取れることの確認を求めるものです。
Q:地位確認事件はなぜ起こるの?
A:法律の原則としては、無期雇用の場合、使用者には解雇権があることになっていますが、労働契約法によって解雇権の濫用が禁止されているため、むやみに解雇すると解雇権の濫用として無効になってしまいます。このため、労働者が解雇権の濫用を主張して争うことが起こります。
Q:解雇権の濫用ってどうやって判断されるの?
A:「濫用」というと特別なことがなければそうはならないと思われがちですが、現実には逆で、労働者に特別な非がなければ解雇権の濫用に当たってしまうのが実情です。このため、解雇が有効になるためには労働者に懲戒事由にあたるような非があることが必要といえます。もう一つの類型としては、整理解雇として有効になる場合がありますが、これは使用者の業績悪化にともなって人員を削減することが止むを得ないような事情が必要です。
Q:地位確認が認められた場合どうなるの?
A:労働者が解雇されていなかったことになり、継続的に賃金が受け取れるようになります。例えば1月末で解雇を言い渡された者が地位確認を求め、10月に地位確認が認められた場合、使用者は通常2月以降の賃金を支払っていないわけですが、2月から10月までの賃金を支払わなければならず、加えて遅延損害金の支払いも必要です。地位確認を争っている場合には出勤していなくても、労働者は賃金を支払ってもらうことができます。そしてその後も労働者の地位がありますので、使用者としては継続的に賃金を支払っていかなければならないことになります。
Q:地位確認を認めたくない使用者はどうしたらいいの?
A:解雇権の濫用が認められそうな事案であれば和解を求めるよりありません。事案によりますが、和解金として賃金の数か月分程度を和解金として提示して、改めて合意による退職を求めることになります。地位確認が認められてしまったら、改めて解雇事由が揃った段階で解雇を通知することになります。
以上、地位確認について、いかに使用者側が大変な思いをするかが少しおわかり頂けたかと思います。
次回も労働事件について続けます。
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