投稿日:2020年07月12日

【札幌 弁護士コラム】労働問題って何だろう?:弁護士から見た労働事件の現場

おはようございます、荒木でございます。

 

今日は日曜日ですが、訴状1本、答弁書1本、遺産分割協議書1本、明日のミニセミナーの準備など結構忙しい1日になりそうです。

 

さて、今日から少し労働関係の業務について書いていきたいと思います。

 

労働関係の紛争とは、労使間での紛争一般をいいます。

中小企業においては典型的な事例としては残業代請求解雇無効の2つです。

この2つが2大巨頭と言って過言ではありません。

その他には労働災害セクハラ・パワハラ、といったところがありますが、2大巨頭から比べると圧倒的に比率は下がってきます。

大企業になるとさすがに残業代の問題はクリアしているところが多くなり、労働災害、セクハラ・パワハラといった問題が相対的に多くなってくるように思います。

このあたり、労働法の教科書を読んでいるだけだとあまりイメージがつかめないところかも知れません。

 

そして弁護士が対応するにあたって、労働問題に関しては、使用者側と労働者側という区分けが存在します。

何も弁護士が弁護士会などに届け出たりするわけではないので、事実上のものではありますが、大体において使用者側の弁護士といわれる弁護士は使用者側(会社側)の案件ばかりをやり、労働者側の弁護士といわれる弁護士は労働者側(個人側)の案件ばかりをやる傾向にあります。

私(荒木)自身は使用者側の弁護士に分類されるのでしょうが、あまり意味のある区別のようには考えていません。

労働者側の弁護士というと、いわゆる共産系の事務所が多くなるわけですが、この組織構造の実態については私(荒木)はあまり知見がありません(共産系の弁護士に訊いてみて下さい。)。

この区別自体というのは、おそらく労働組合、労働争議華やかなりしころ(裁判所に行って労働組合の幹部が「名を名乗れ!」などと息巻いていたような時代)に形成された文化が強く、個別的な労働問題が中心になっている現代においてはあまり意味をなしていないのかもしれません。

 

労働問題の構造としては、通常、何らかの問題が起きる→労働者が不満を持つ→労働者が使用者を訴えるというものです。

使用者が労働者を訴えることもあり得ますが、現実にはほとんどといっていいほどありません。

それというのも、使用者には労働条件や労働環境のルールを決めるイニシアチブがありますし、労働法の法体系自体が労働者保護に寄っているため現実に紛争になった時には使用者側にとってはハンデを負いながら進めなければならないという事情があるからです。

このため、紛争が行った場合には労働者側から突き付けられた主張に対し、使用者側が反論を行っていくという構造となるのが通常です。

 

また、最近、個人的に感じている傾向としては、「いきなりステーキ」、ではありませんが、「いきなり弁護士」、「いきなり訴訟」、「いきなり団体交渉」といったような案件が増えているということです。

これは、労働者が働いている間には使用者(上司)に対して何も改善要求などを出さず、話し合いも行わない状態の中で、突如、代理人を通じて金銭請求などを行ってくることが多くなっているということです。

もちろん、そのように進める権利がないわけではないですので、上司に対して話しにくい状況があるなど、わからなくもないのですが、それにしてもコミュニケーションの欠如を感じることが多くあります。

これは労働者側だけではなく、使用者側も同じで、労働者と話すのが嫌だから弁護士に丸投げしたいというニーズも多く聞かれます。

私(荒木)としては、弁護士を頼ってもらうのはそれはそれでいいと思いますが、本質的な解決を図ろうとするのであれば、双方ともに話し合いを経た後で弁護士に話を持ってきてもらいたいと思っています。

そのワンクッションがないがために、通知書や訴状を見て「何じゃこりゃ!?」という主張がなされることが多くなり、結果的に丸い解決というのが不可能になってしまう事案も多く発生しているように思われます。

 

次回は労働関係の個別的なお話に進んでいきます。

 

————————————————————————————–

☆本ブログへの感想をお寄せください!

いつも本ブログをご覧いただきましてありがとうございます。

・ためになったこと、参考になったこと

・読んでみてやってみようと思ったこと

・行動を変えるヒントになったこと

・ひとに教えてみたいと思ったこと

などなど、読んで頂いて感じたことを筆者(荒木)宛に是非お寄せください。

 

<感想のお送り先>

・アンサーズ法律事務所のFBページのコメント欄

https://www.facebook.com/answerzlaw/

・アンサーズ法律事務所のTwitterのコメント欄

https://twitter.com/answerz_law

・アンサーズ法律事務所の公式ページのお問い合わせフォーム

https://feelist-srv.sakura.ne.jp/02_test_site/answerz_test/inquiry/

以上のいずれでも結構です。

皆様の声をお待ちしております!

————————————————————————————–