おはようございます、荒木でございます。
今日は事務所のエアコン清掃の関係であまり予定を入れていませんでしたが、午後から顧問先様との新件の打合せ、北海道M&A協会の打合せ、夜は顧問先様との会食などです。
今月半ばから新たに顧問先様が増えましたので、そちらのほうの(あまり弁護士業務ではない)業務対応も進めています。
さて、長々とプロフィールを書いてきましたが、統合作業は裏方でやるとして、通常運転に戻ります(笑)。
社外役員のお話をしてきましたのでそれを継続します。
(今回のお話も主観に基づく話ですので、細かいところはあまり気にしないでください(汗)。)
日本の会社法制度というのは、明治時代にできたものですが、ガバナンス制度として業務執行に対する監督というのは監査役制度を中心に変遷をしてきました。
簡単にいうと、監査役は経営監査権限と会計監査権限を有していた時期から会計監督権限のみになった時期を経て、また経営監査権限と会計監査権限を有している時期に移行しています。
また、権限の内容も、大規模な不祥事の事件が発生するたびに権限が強化されていくという歴史があり、日本独自の発展を遂げています。
現在の流れとしては、会社の機関の設計の柔軟化を進めるとともに、社外役員の増強や多様化を目指す傾向にあるといえます。
これは「所有と経営の分離」という会社法の基本に基づく発想で、株主が会社を所有し、代表取締役が業務執行を行う、という形態を実質化するための方策です。
(但し、このような議論が活発になっているのは上場企業やそれに準ずる規模の会社であり、非公開会社である中小企業については縁遠い話ではあります。)
では、社外役員をたくさん入れれば会社が良くなるか、というとそこは難しい問題があります。
それというのも、社外役員というのは外部での業務経験があって、それを活かして役員としての業務を遂行することが期待されているわけですが、当然に外部での業務は継続しているのが普通で、社外役員となっている会社でべったりと業務を行っているわけではありません。
そうすると社外役員先の会社の業務運営、人事体制、コンプライアンス体制等について必ずしも十分に理解できるわけがありません(制度上は理解することが求められてはいるのでしょうが、完全な理解はまず不可能です。)。
例えていうなれば、プロの料理人が他の店で料理を作れと言われて、料理の作り方はよくわかっているものの調理器具や調味料の場所がわからないような状態といっていいでしょう。
そんな状態であるわけですので、監査に当たっての発言をする場合でもある程度は抽象的なレベルにとどまらざるを得ないのが実態です。
ここが制度論の理想と現実との間にギャップを生む大きな原因になっています。
但し、監査役には会社に対する調査権限が与えられていますので、会社に対して監査に必要な範囲で資料の提出を求めたり、関係者にインタビューをしたりする権限もあります。
しかし、取締役の意向に反してこの権限を使ったらどうなるでしょうか。
もちろん、違法・不当な行為があった場合には取締役のほうが行為を改めるのが筋なのでしょうが、会社の維持に必死になっている取締役では必ずしもそうもいかず、監査役との間で激しい対立を生むこともあります。
そうなってくると、(一定の身分保障と報酬の保障はあるとはいえ)監査役は立場としては苦しくなってくるものがあり、身を削ってまで正当性を貫けるかは疑問、という部分もあります。
まして社外の人間が取締役と全面戦争をしてでもコンプライアンスを守らせようとするようなことが期待できるか、というと制度設計としては疑問の余地もあろうかと思います。
このように、会社のガバナンス制度というのは画一的なものがあるわけではなく、常に変化を続け、最適解を探し続けるものだということがお分かり頂けたかと思います。
次回は社外役員としてどのようなことをやっているかについて書きたいと思います。
————————————————————————————–
☆本ブログへの感想をお寄せください!
いつも本ブログをご覧いただきましてありがとうございます。
・ためになったこと、参考になったこと
・読んでみてやってみようと思ったこと
・行動を変えるヒントになったこと
・ひとに教えてみたいと思ったこと
などなど、読んで頂いて感じたことを筆者(荒木)宛に是非お寄せください。
<感想のお送り先>
・アンサーズ法律事務所のFBページのコメント欄
https://www.facebook.com/answerzlaw/
・アンサーズ法律事務所のTwitterのコメント欄
https://twitter.com/answerz_law
・アンサーズ法律事務所の公式ページのお問い合わせフォーム
https://feelist-srv.sakura.ne.jp/02_test_site/answerz_test/inquiry/
以上のいずれでも結構です。
皆様の声をお待ちしております!
————————————————————————————–