おはようございます、荒木でございます。
今日は1日、苫小牧のお客様のところをご訪問の予定です。
さて、前回までM&Aのお話をしてきましたが、では実際に弁護士がM&Aとどのような関わりをしているか、という点をお話していきたいと思います。
目次
1.仲介業としての役割
私(荒木)は、一般社団法人北海道M&A協会の代表理事という立場であるため、「こういう会社を買いたい」とか「うちの会社をうるにはどうしたらいいのか」といったご相談も多数お受けしますが、これというのは弁護士の動きとしてはかなりイレギュラーなものです(汗)。
もちろん、多数の顧問を抱えているような弁護士であれば、その中からこのような話が出て来ても不思議ではありませんが、あまり弁護士そのものが仲介の役割を果たすということは多くないでしょう。
それというのも、基本的に弁護士は毎月顧問先を回るようなことをやっていないため、タイムリーな情報を持っていない、基本的には待ちの姿勢であるため、積極的な提案を行わない、といったことがあるからです。
これに比較されるのが税理士さんですが、税理士さんは各社の財務データを持っているため、M&Aの提案を行いやすいという側面があります。
但し、どこまで積極的に提案を行っていくかというのは、それぞれのスタンスの問題に依存することにはなります。
2.スキーム策定
M&Aと一口に言っても、その進め方、具体的な方法、すなわちスキームは無数に考えられるところです。
その中でどのようなスキームが望ましいか、というのは優れて専門的な問題になってきます。
もちろん、M&Aを実行した後にどれほどのシナジーが生まれるか、とか、M&Aを実行するにあたってどれくらいの税金が発生するか、といったビジネスや財務の視点ももちろん重要です。
しかし、忘れてはならないのが法務の重要性。
手続要件を満たすか、従業員を減らすのであればその手続が適法か、第三者との契約を生かしておくのであればその手続をどうするか、必要な許認可を承継できるか、といったようなものは法務マターになってきます。
このため、スキームを検討する段階からM&Aには弁護士が関わっていくべきだと考えられます。
3.DD(デューディリジェンス)
買主は、売主から提供された情報をもとに、買うか買わないかを検討しますが、それが完全に信用できる情報かというとそうでもありません。
それというのも、売主はなるべく高く売りたいわけで、なるべくネガティブな情報を出したくなく、自社が高く見えるような解釈をしようとするイニシアティブがあるからです。
また、売主が高く見せようとしなかったとしても、簿価を時価に引き直す際には評価に幅が出るのはやむを得ないことであり、売主の出した評価が全て正しいと限らないということも理由にあります。
このため、買主が意思決定をするにあたっては、売主に対する監査としてDD(デューディリジェンス)を行うわけです。
これもやはり、ビジネス、財務、税務などの分野があり、その一端として法務DDがあります。
法務DDで行うことも多岐にわたりますが、これまでの決議が会社法上の決議要件を満たしているか、M&Aによって主要な契約が切れることがないか、許認可が認められないことがないか、従業員への未払残業代がないか、第三者との重大な紛争はないか、といったようなところが主要なポイントになってきます。
法務DDは、買主から依頼を受けた法律事務所が、売主に対して資料の提供や経営者のインタビューを求め、その内容を検討する形で進められます。
DDが終わったら報告書の形でそれを買主に提供し、報告会を行って終了となるのが基本的なパターンです。
4.契約書作成
M&Aに関連する契約書を作成するのも弁護士の大きな役割です。
時系列でいうと、まずは売主と仲介業者との接触の際に発生するNDA(秘密保持契約書)、仲介契約書(又はFA契約書)というものがあり、ここからM&Aの流れが開始します。
仲介業者が他の業者や買主候補に対して情報を提供する際には、やはりNDAを結びます。
話が成熟してきて、具体化してきた段階で、売主・買主間で基本合意書(IM、MOU)を締結します。
この基本合意書もあなどってはならないものであり、どの範囲で法的拘束力を持たせるか、どこからが法的拘束力がないかを明確にするなど、その後の案件の成約率に関わる部分も多分にあります。
基本合意書を結んだ後、DDに移り、DDが終了した段階で最終契約書の交渉に入ります。
最終契約書とは、株式譲渡契約書、合併契約書、事業譲渡契約書といったM&Aの最終的な目的を反映した契約書のことをいいます。
この内容がまさしく売主と買主の意向がぶつかるところになりますので、交渉によって内容が詰められていきます。
価格もそうですが、どうしても譲れない条件において対立が生じてしまうと案件がブレークしてしまうこともあり得ます。
以上のようなことで弁護士がM&Aに関わっているということがお分かり頂けましたでしょうか。
次回はM&Aをいったん離れて別の話題にしたいと思います。
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