投稿日:2020年06月12日

【札幌 弁護士コラム】M&Aをやるのにお金はかかるの?②:税金と最終契約書の作成費用

おはようございます、荒木でございます。

 

最近、新規のご相談もちょくちょく頂くようになっておりますが、やはりどちらかというと大きな動きがないように思います。

やはりコロナの影響でどこも動きを控えている様子がうかがえます。

 

さて、M&Aに関する費用のお話の続きです。

 

(3)税金

M&Aというと「実は何をやっているのかわからない。」という方もいらっしゃるかもしれませんが、有り体に言ってしまうと、事業資産か株式を譲渡する、というのが実のところです。

そうだとすると、簿価よりも高い値段で売れた場合、税金が発生する原則であるところの価値の現実化が発生すると、売主に譲渡所得というものが生じます。

八百屋さんがキュウリを100円で仕入れて、200円で打ったら100円が所得となるのと同じ原理で、事業資産でも株式でも仕入れ値があるはずで、それが高くなったから所得となるということです。

逆に、売主の会社の業績が悪かったりするなど、事業資産や株式を簿価よりも安く売る場合には、売主から買主に対して、価値の一部を無償で渡した、ということになり、買主に贈与税が発生することになります。

 

しかし、M&Aで譲渡される事業資産や株式の額は、日常的な取引に比べて極めて高額になることも多く、譲渡所得に関する一般的なルールを適用するととんでもない税金が発生することも珍しくありません。

それでは誰もM&Aなんかやろうということになりません。

そこで設けられている制度が適格組織再編税制です。

この制度の中では、「組織再編成により資産を移転する前後で経済実態に実質的な変更がない、すなわち『移転資産に対する支配が再編成後も継続している』と認められる場合は移転資産の譲渡損益の計上を繰り延べる」という発想に基づき、一定の場合には課税が繰り延べられる措置が取られています。

こちらはかなり要件が複雑ですので、具体的な話はM&A専門の税理士さんに確認したほうがいいでしょう(逃げているわけではありませんよ(汗)。)。

 

<適格組織再編税制 財務省HP>

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/c06.htm

 

また、M&Aの最終合意を行うものである譲渡に関する契約書(又は計画書)については、合併、会社分割の場合には印紙代が4万円かかります(1通あたりです。)。

株式譲渡契約書に関しては印紙代はかかりません。

但し、「~円を受領した。」という記載があったりすると、領収証としての印紙代の対象になってしまうことはあり得るので注意が必要です。

印紙代が発生する場合には一般的にはその費用は売主と買主で折半することが多いように思われます。

 

(4)最終契約書作成までの交渉に関する費用

最終契約書とは、合併契約書や株式譲渡契約書といったM&Aの最終的な合意に関する契約書をいいます。

契約書を作成すること自体が一般的には容易なことではないので、弁護士を起用する必要性が高いですし、さらにDDの結果を反映しなければならないというところで、買主側では、DDに参加した弁護士をそのまま契約書作成に起用することが多いといえます。

もちろん、最終契約書は売主、買主の利害が対立する部分での契約書ですので、どちらかが提示したものを「はい、そうですか。」といってすぐに受け入れられるものではなく、一定程度の交渉が必要になります。

ここで大切なことは、M&Aアドバイザリーとして案件に関わる会社に仲介を依頼していたとしても、報酬を支払って交渉を任せることは弁護士法違反として禁じられているということです。

契約書に対するアドバイスを求めることも弁護士法違反になります。

交渉や法律文書に対するアドバイスは弁護士でなければ、報酬を受けてやってはいけないことになっていますので、十分に注意してください。

最終契約書の交渉や作成に関してどれくらいの弁護士報酬が必要になるかも難しいところですが、やはりタイムチャージとしては3万円から5万円、定額で行うのであれば中小規模のディールでも30万円から50万円あたりが相場になってくるのではないでしょうか。

 

以上、M&Aに関する費用についてお話して参りました。

次回はM&Aの時流についてお話したいと思います。

 

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