こんばんは、荒木でございます。
今日は顧問先様からのご相談が1件あったのみで、その他は業務処理に集中。
裁判所からも案件再開の連絡があり、徐々に平常化していることを感じています。
さて、顧問料のお話の続きです。
顧問料はよく、「保険料」とか「安心料」とか言われることがあります。
しかし、私(荒木)はあまりそのように言われるのが好きではありません。
このブログをずっと読んでくださっている方にはお分かりかと思いますが、いきなり問題案件を持ち込まれても大した対処ができないのが弁護士の仕事だからです。
この「保険料」とか「安心料」とか言われるのは昔の名残であることが推測されます。
それというのも、今は弁護士の供給過剰とでも言われる時代になっていますが、15年も前であれば弁護士が足りず、いわゆる「ゼロワン」地域といわれる地域もあったくらいで、「いい弁護士に依頼できること」自体が価値を持っていました(ということらしいです。)。
このため、「いい弁護士」にいつでも依頼できるように顧問料を支払っていた会社が多く、依頼できるという意味での保険や安心につながっていたという歴史があるように思います。
これに対して、現代においては、「保険料」とか「安心料」とか言われるものを定期的に支払わずとも普通に依頼できるようになっており、弁護士に対するプレミア感などまるでなくなっているのが事実です(あぁ、また言っちゃった…。)。
弁護士業はそれなりに忙しいものですが、昔のような案件集中があり、仕事の半分が仕事を断ることだったような時代はとうに過去のものになっています。
ですので、弁護士にツバを付けておくようなための顧問料であれば払う必要などないと考えています。
ではなぜ顧問料を支払う必要があるのか、ということになります。
それは「本来、顧問弁護士は法務コンサルタントであるから」ではないでしょうか。
そもそも「コンサルタント」の定義というもの自体、人それぞれなのでしょうが、私(荒木)がここで言わんとしている「コンサルタント」というのは、「依頼者の気付いていなかったニーズを掘り起こし、それを解決するためのアドバイスをする人」とでも定義されると考えています。
そうだとすると、本来的に顧問弁護士の役割というのは業務処理にあるのではなく、いらいする会社が気付いていない法律問題や法律面でやっておいたほうがいいことをアドバイスすることにあるわけです。
著作権の話でいえば「つかまるよ、マジで。」という「違法だよ!あげるくん」的な立場で、気付いていないことを指摘する立場であるといえます。
これが顧問弁護士の価値であるとすれば、何時間手を動かしたとか、会社から頼んだことをどれくらいやってくれたとか(それも大事ですが)、そういったことは本当の意味では顧問弁護士としての評価とは関係なくなってくるはずです。
そうすると、報酬の話に立ち返って、述べるとすれば、常に何かしら会社(特に経営者)の気付いていなかったこと、気付かなかった視点から物事を見られることの価値にいくら支払いますか、という金銭換算になってきます。
その意味では、価値を感じて頂ける方には無尽蔵の価値を感じて頂けることになりますし、よくわからないという方は「幽霊の正体見たり枯れ尾花」的な話になってしまうのかも知れません。
しかし、「気付かなかったことに気付ける」ということは時に途轍もない価値をもたらす、ということは歴史が証明しています。
ニュートンがリンゴの落ちるのに気付いていなかったら物理の教科書は変わっていたでしょうし、ミッドウェー海戦で日本軍の暗号をアメリカが解読できていなければ戦後の歴史は大きく変わっていたでしょうし、円谷英二が味噌汁を混ぜていて何も感じなければ特撮の歴史は変わっていたでしょう(マニアックな話です。汗)。
そうすると顧問弁護士の価値=気付きの価値は時に凄まじく大きい価値をもつということです。
そんなわけで結論的に「顧問料はいくらがいいか」ということについてはノンリケットなわけですが、顧問料の多寡を考えるにあたって、どう考えればいいかということの一助にして頂ければ幸いです。
次回も禁断のお話(笑)。
顧問弁護士選び方、という話をしてみたいと思います。