投稿日:2020年05月28日

【札幌 弁護士コラム】契約書における条項解説③:契約書の終盤にはどんなことが書いてあるの?

こんばんは、荒木でございます。

 

今日は、今朝ご報告した予定の他に、新規投資提案の案件、工場の買取り案件の話など色々とありました。

経済が回り始めた感じがします。

 

さて、契約書の続きです。

内容部分の最終回として契約書終盤に書かれている内容の解説をします。

 

⑨表明保証条項

反社条項もこれに含まれるものですが、一方当事者が他方当事者に対して一定の事実が存在することを約束(表明)し、それを保証するような条項をいいます。

M&Aにおける契約書で多く見られますが、相手の会社の情報がわからないときや、DD(デューデリジェンス)の対象とならなかった情報に関する部分について、一定の事実があることを契約の条件とするために用いられます。

例えば「○は、日本法に基づいて適法に成立し、本契約書締結日時点において存続していることを表明し、保証する。」といったような条項です。

表明保証違反があった場合には、損害賠償請求や解除といった制裁が与えられることとなります。

 

⑩存続条項

契約が終了した後も契約の効力が残る条項をいいます。

守秘義務規定のところでも述べたように、守秘義務規定に存続条項が定められるのが代表的です。

他には、業務提携契約やフランチャイズ契約など、一定のノウハウを共有する契約における競業避止条項などについても存続条項が設けられることが通常です。

存続条項の期間については、3年や5年などといった期限が設けられていることも多く見受けられます。

 

⑪準拠法、言語

準拠法とは、その契約書がどこの国(地域)の法律に従って解釈されるのか、ということを合意するものです。

弁護士にとってはなかなかの曲者で(汗)、私であれば日本法以外に準拠されてしまうといきなり立場を失ってしまいます…。

日本法とカリフォルニア州法の弁護士資格を持っているような人でも、本分としている法律以外については基本的にアドバイスをしないというのが暗黙のルールになっています。

このため、準拠法によってアドバイスを受ける弁護士を変える必要が出てきたりもします。

言語については、例えば日本法人と米国法人で契約する場合、日本語を正本とするか、英語を正本とするかを決めるようなことがあります。

これは言語のニュアンスの違いによる解釈のずれが発生することを避けるものです。

 

⑫合意管轄条項

その契約書においてトラブルが発生した場合に、どの裁判所に案件を持ち込むかを決めておくものです。

住所地が近い者同士の契約であれば特に問題にならない話ですが、例えば全国の消費者に対して商品を販売するような会社であれば、消費者から提訴された場合、全国の裁判所で対応しなければならない可能性が生じます。

このため、多くの場合には契約(約款)において本社の所在地を管轄する裁判所を管轄裁判所とする定めを入れています。

但し、管轄裁判所を指定しておいたとしても、消費者保護の観点から移送といって事後的に裁判所を変える手続が取られる可能性があります。

 

(了)