こんにちは、荒木でございます。
今日はちょっと私用で立て込んでおりました。
来週は、新規で決まっている仕事の打合せ、アントレプレナー系の事業の打合せのため某上場会社の社長さんとの面談など、新しい話もあり、徐々に元の日常に戻りつつあります。
さて、本題の契約書のお話に入っていきます。
このブログでは何度も書いているところではあるのですが、改めて契約書の役割などからお話していきたいと思います。
「契約書は証拠である」
以上!!
…え?
という声が聞こえてきそうですね(笑)。
でもそうだから仕方がないのです。
でも出来上がった契約書自体ではなく、契約書が作られるまでのプロセスは本当に重要です。
そのプロセスこそがビジネスと法務を結びつけるための架け橋になります。
例えば、一番わかりやすく、売買契約書を例に取りましょう。
建設用の木材を買うことを想定してみます。
あなたが建設会社の法務担当者で、資材屋さんから仕入れるとしたら何に気を付けるでしょうか。
色々とあるとは思いますが、
・きちんとした材料が入ってくるのか
・運送中に事故があったら弁償してくれるのか
・納期が遅れたらどうなるのか
・注文したはいいものの、納入までに資材屋が潰れたらどうするのか
・価格はどうするのか
などなど、心配事は尽きません(尽きないはずです。)。
ここで「価格はどうするのか」というのを最後に書いたのは意味があります。
みなさん、いの一番に心配するのは価格の問題でしょうが、それ以外の要素を詰めておかなければ本来は価格は決まらないはずです。
品質や数量というのはもちろんですが、それ以外のリスク要因を金銭的に評価しておかなければ、本当の意味で利益のある商売はできません。
例えば、上記の例で簡単なところでいえば「輸送中の事故に遭ったときのために保険をかけるとしたら、保険料を誰の負担とするのか」というところで価格に跳ね返ってきます。
そのような意味で、「無事に届いたからいいや」ではなく、ビジネスとして見た場合には必ずリスクヘッジを見据えておかなければなりません。
そのような目線で見た場合、上記のリスク要因を契約に反映しようと思うと以下のように整理されます(考え方の一例です。)。
・きちんとした材料が入ってくるのか →契約不適合責任
・運送中に事故があったら弁償してくれるのか →危険負担
・納期が遅れたらどうなるのか →債務不履行
・注文したはいいものの、納入までに資材屋が潰れたらどうするのか →担保物権
このような条件をいかに取り決めるかによって、買主としてはリスクヘッジを行うことが可能になります。
これこそがビジネスと法務との融合領域といえます。
条件交渉を行うのは、中小企業であれば会社の社長や役員ということが多いでしょうが、このような部分を理解されているかどうか、というところで契約条件は大きく変わってきます。
実はこの段階こそが本来的には弁護士の力の見せ場になってくるわけです。
もちろん、相手のあることですので、自分の考える通りにはなりませんが、こういった背景を踏まえればよい条件の契約を目指すことが可能になります。
そうして出来上がった契約条件を書面に起こしたものが契約書となっていくわけです。
明日も契約書の話を続けます。