こんばんは、荒木でございます。
今日は朝から銀行、昼からは北海道M&A協会のwebセミナーでした。
Webセミナーのほうはなかなかに盛況で、新規の会員さんがかなり多く参加してくれるようになった模様。
これからのM&A業務が楽しみです。
さて、昨日の続きです。
「予防法務が何の意味を持つのか。」というお話からでした。
「紛争処理は、過去の振り返り作業でしかない」というお話をしましたが、それが意味するところは「過去は変えられないから、あったがままを受け入れるしかない」ということです。
何かことが起こったとしても、弁護士では過去を変えられないということです。
過去を変えるなら、デロリアンを使うか、ドラえもんを呼んでくるか、時をかける少女になるしかないわけです(←わかりにくいですね。笑)。
だからこそ、未来に備える法務としての予防法務が必要になってくるわけです。
さらに予防法務と一言に言っても、レベルには様々なものがあります。
・紛争になりそうな直前で法務対応を行う場合
・取引が発生した段階で契約書のチェックを行うなどの法務対応を行う場合
・取引のスキーム構想の段階から法務の観点を入れる場合
・会社を立ち上げる前のビジネスモデル策定から法務を意識する場合
などがあり、下のほうにいくほど、その抽象度は高いものといえます。
一般的に言えば、具体的な度合いが高い(=紛争が具体化している)場合のほうが弁護士に対するニーズは強く、低い(=具体的な紛争が見えない)場合にはあまり弁護士のニーズはたかくないといえます。
病気に例えてみればわかりやすいと思いますが、お腹が痛くてたまらなくなったらみんな病院に行きますが、何も症状がないのに病院に行く人は珍しいのと同じです。
裏を返してみると、何も症状がない段階であれば病気を治せる可能性が高いのに対し、お腹が痛くてたまらない段階になってしまうと病気が治らない可能性が高くなるように、法律問題も紛争の抽象度が高く、何もない段階で対応すれば予防が可能となり、また解決も早くなるというメリットがあります。
だからこそ、紛争が現実化した後よりも前の方が、紛争になりそうな雰囲気が出てきた後よりも前の方が、取引を行った後よりも前の方が、取引のスキーム構想が固まった後よりも前の方が、法務対応を行う効果が高いと考えられるわけです。
しかし、そこまで前の段階、前の段階と、法務対応を行う企業は多くありません。
それはある意味では当然のことですが、どの企業も「リスク回避より売上げが大事」だからです。
口幅ったく言っている私(荒木)でもそのことは百も承知なわけで、全ての企業が創業時から弁護士を入れるようなことはまず無理だということも分かっています。
しかし、唯一分かって頂きたいとすれば、「法務対応なしに企業経営を行うということはそれだけでリスクを取っている」ということです。
言うなれば教習所に通わずに公道を車で走り始めるのと一緒です。
そうして、ある程度、事故に遭わずに走ってしまうと、「あれ?これ大丈夫なんじゃね?」と思い始めてしまい、そのまま走ってしまうというのが人間の性。
その段に至って事故に遭うと大けがをしてしまう、というの紛争の本質なのです。
そんなわけで私(荒木)は予防法務の大切さを述べて回っているわけです。
じゃあ、なぜそこまで荒木が予防法務、予防法務、というようになったか、明日も続けます。