投稿日:2020年05月11日

【札幌 弁護士コラム】コロナ関連倒産を受けて:倒産手続のポイントとは?

おはようございます、荒木でございます。

 

今日は朝から、電話での交渉、web改善の

打合せ、新規の事業承継のご相談と、

少しずつ平常運転に戻る兆しが出て

参りました。

しかし、「戻る」とはいっても、コロナの

影響は不可逆的な部分を残すことは

間違いないので、デジタルシフトへの

取り組みは今後も加速させていきたいと

考えております。

 

さて、コロナの影響で、道内企業の倒産が

相次いで報じられています。

 

<NHK 感染拡大で倒産 全国2番目に>
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20200510/7000020983.html?fbclid=IwAR3Ylx_1bzd5ZGM5Mt2gAv4W6Iu0-0BgLLcH9Q27VBjDJlbsU7tt_mXMR84

 

倒産に関するポイントをいくつか

挙げてみたいと思います。

 

(1)赤字だからではなく、キャッシュが

回らないから倒産する

 

よく「赤字が嵩んで倒産する」とか

「負債総額○億円」といったように、

赤字の金額いかんで倒産する企業が

出るかのように言われます。

しかし、これは正確ではありません。

現に、ソフトバンクなどは凄まじい

金額の負債を抱えていますが、

それでも健全に企業経営を

継続しています。

倒産の原因になるのは、負債ではなく、

キャッシュが足りないことです。

支払いができなくなることが

確定した時点で倒産、というのが

パターンになっています。

 

(2)倒産を引き起こすのは固定費

 

また、「何が支払えなくなるのか」

という点に関していえば、固定費が

支払えなくなるというのが最たる

部分です。

固定費の代表格としては、

・賃金(給料)

・賃料

・リース料

・継続的なサービス料・委託料

・税金・社会保険料

といったところが挙げられます。

なお、継続的な支払いが必要となる

部分というと銀行借り入れの返済も

ありますが、ここに関して今は

リスケジュールもかなり柔軟に

対応してくれると考えられます。

このような固定費があるにもかかわらず

売上げが下がるため倒産に至って

しまうわけです。

よく「売上げが下がったため倒産」と

いう言い方をされますが、これも

正確には、「固定費がある中で

売上げが下がったため倒産」という

ことになります。

 

(3)法的倒産はまだいいほう

 

上記のニュースでは道内で11例の倒産が

報告されています。

しかし、この数字は法的な倒産手続、

すなわち、破産、民事再生、会社更生、

特別清算を行った件数を指しています。

この陰で休眠や閉業、場合によっては

夜逃げといったようにきちんと処理を

行っていない業務停止は、この何倍も

発生していると推測されます。

なぜ、法的手続を行わなければならないか、

ということですが、一言で言うなれば

「周りに迷惑をかけるから」という

ことでしょう。

企業経営は様々な債権債務関係が

入り混じってくるのが通常であり、

経営を辞めるのであればそれらを

整理する必要があります。

しかし、それを放置してしまうと、

取引先が損金処理できなかったり、

従業員が未払賃金立替払制度を

利用できなかったりと、迷惑が

かかってしまいます。

また、経営者自身も再度事業を

立ち上げようとする場合に問題を

積み残したままになってしまいます。

現段階では、早めに経営に見切りを

つけた企業の倒産が多いため、まだしも

綺麗な形での清算が可能になっている

のではないかと思われます。

しかし、本当にせっぱつまった段階での

倒産が増えてくればきちんと整理されない

事実上の倒産の増加も懸念されます。

 

以上、思いつくままに倒産のポイントを

挙げてみました。

いずれにしても何より、早めに専門家の

意見を受けておくことが必要です。

 

ご希望の方がいらっしゃれば、

オンライン法律相談をご利用くださいませ。

 

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