投稿日:2020年05月09日

【札幌 弁護士コラム】コロナの影響によるアルバイト従業員への休業手当はどうする?

こんばんは、荒木でございます。

 

今日は朝から恒例のお灸で体の

メンテナンス。

午後は第二領域として引き続き

テレワークの準備やらなんやら。

 

さて、最近頂いたご相談で、

「コロナの影響で飲食店が出勤調整を

している場合、アルバイトに休業手当を

支払わなければならないか。」

というものがありました。

 

この問題、全国的に多数起こっていると

思われますが、実は法律的には結構に

微妙なところで、固まった解釈が

ありません(荒木調べですが。)。

以下、解説を書きますが、あくまでも

いち意見としてとらえて頂きければ

と思います。

(一応きちんと調べてはいますが、

どうもはっきりしません。)

 

まず、アルバイトを含め、従業員が

出勤していないときに給料を

支払わなければならないか、という

問題があります。

「え?そんなの支払わなくていいに

決まってるじゃん!」と思った

経営者の方、猛省してください。笑

 

労働法の世界では「ノーワーク・

ノーペイ」という原則があり、

「働かざる者食うべからず」では

ないですが、給料を支払わなくていいのが

原則にはなっています。

しかし、この条件としては

「労働者(従業員)側の都合である場合」

という限定があります。

会社の都合で休みにした場合には、

給料を支払わなければならないことに

なります。

 

ただ、さらにややこしいのが、

「休業手当」という制度があることです。

会社の都合、すなわち、会社が改修工事を

するから休みにするとか、社長の思い付き

で休みにするといったような場合には、

民法第536条第2項が適用され、

会社が所定の給料を全額支払わなければ

ならないことになります。

(細かい説明は省きます。)

 

一方で、労働基準法第26条では、

「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合」

には所定の給料の6割を支払わなければ

ならないことになっています。

この基準の解釈というのは、あまり厳密な

ものがなく、ケースバイケースにならざるを

得ないことになっている、というのが現状です。

 

昨今の情勢によれば「自粛を求められている」

という業態のところも多くあります。

しかし、これは「営業禁止」ではないため、

従業員に出てきてもらおうと思えば出て来て

もらえる状況です。

このため、「自粛」の段階では会社の判断として

従業員を休ませていることになり、

「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合」

として6割を支払わなければならない、

というのが解釈の帰結になろうかと思います。

飲食店はこの段階ですね。

 

その次に難しいのがアルバイトの

取扱いです。

正社員であれば、普通、勤務時間帯が

かちっと決まっており、その一部でも

休ませるとすれば休業手当の

問題が生じるのが明らかです。

一方で、アルバイトとなると、

多くの場合、「シフト制」として

何曜日の何時から何時まで働く

というのが決まっていません。

会社側の解釈としては、

「シフトを入れていないのだから

所定労働時間にあたらない。」として、

休業手当の対象にしないという

考え方もあり得ます。

 

しかし、シフト制とはいえ、

アルバイトしている側にとっては、

毎月一定の給料を期待しているので

あり、いきなりシフトを失くされる

というのは、一方的な解雇に

近い状態に追いやられることに

なってきます。

そこで、合理的な解決としては、

(完全に私見ですが)コロナの影響が

発生する前3か月間の平均賃金を

算出して、その6割については、

休業手当として受け取れる(会社は

支払わなければならない)といった

解釈がだとうなのではないでしょうか。

 

コロナが終わったら休業手当の問題も

なくなるわけではなく、給料を請求する

権利の時効(3月以前は2年間、4月

以降は3年間)が来るまでは解決して

いないことになります。

 

いずれにしても会社側としてはきちんとした

対応を早く考えなければならない時期に

来ているといえます。

 

ちなみに、先日、社労士の湊先生の

ラジオ番組(Youtubeも)に出演させて頂き、

休業手当について語っていますので、

ご関心があればご覧くださいませ。

 

(マッスルボディは嘘つかない 4/14分)

https://youtu.be/K11aKpJxqA8