投稿日:2020年05月06日

【札幌 弁護士コラム】「緊急事態には何の役にも立たないのが弁護士」という現実

おはようございます、荒木でございます。

 

昨日は、(遅ればせながら?)事務所の

ファイル(データ)管理をクラウド化する

作業を行いました。

大量のファイルがあるわけですが、

意外とスムーズに進んで何よりでした。

これでテレワークも一応ができそうな

雰囲気です。

あと登記情報についても便利なサイトが

あることを知ってそちらも導入しました。

 

さて、このご時世になって思うのが、

「緊急事態において弁護士は何の役にも

立たない」ということ。

語弊があるのは承知ですが、

緊急事態において物事の本質的な

ソリューションを提供することが

できないことは否めません。

 

それぞれの問題については、

役割分担が定められているので

あり、緊急事態において弁護士に

その役割は与えられていないのです。

すなわち、

・お金の問題→政府、金融機関

・健康の問題→保健所、医療機関

・物資の問題→民間小売業者

・システムの問題→民間システム業者

・社会の仕組みの問題→政治家

という分担があり、弁護士は

どこにも入っていないわけです。

 

ここで重要なのは、問題の切り分けの

問題です。

「緊急事態において」という限定を

付けましたが、もちろんコロナの問題に

ついて弁護士が無関係であると

言っているわけではありません。

ただ、(いつも言っていることですが)

弁護士が本質的に解決できる問題と

いうのは事後的なものであり、

金銭的なものでしかない、

ということであり、

いまある現場での問題解決は

できない、ということなのです。

 

例えば、コロナ関連休業が問題に

なっていますが、これについても、

弁護士は休業した会社の事後的な

債務整理や倒産手続を行うことは

できますが、今、危機状態にある会社を

助けることはまずできません

(民事再生等は考えられますが、現状では

相当に厳しいと考えられます。)。

同じように、休業手当をもらえない

従業員の問題に際して、事後的に

会社に対し未払賃金請求をすることは

できるかも知れませんが、目の前で

収入がなくて困っている人を助ける

ことはできません

(給付金の手続の代行などは考えられ

ますが、実体的には政府がやっている

ものです。)。

 

一方で緊急事態が収まった後での賠償、

補償問題は弁護士の土俵になってきます。

しかし、会社であれば倒産状態に

あったり、個人であれば不可逆的な

ダメージを負ったりしていれば、

金銭的な解決にも限界があります。

 

そこで、一歩進んで何かできないか、と

考えるのであれば、やはり日常的な

積み重ねに対して弁護士が関与していく

しかありません。

それというのも今回のコロナ禍では、

必ずしも新しい問題ばかりが発生した

ものではなく、従来から潜在的に

抱えていた問題が一気に顕在化した

だけの部分があり、日常的な体質改善を

行ってきたかどうかで大きくダメージが

異なっているからです。

 

コロナ禍でダメージを負うことにばかり

目が行きがちですが、教訓と反省を

活かすチャンスも同時に訪れている

はずだということも認識しなければ

ならないのではないでしょうか。