投稿日:2020年04月02日

【札幌 弁護士コラム】人事異動の価値とは?:人と交わることによって何を得るか

こんにちは、荒木でございます。

 

昨日から当事務所にスタッフ1名が入所し

事務所もややにぎわってきました。

個人事務所ですので、あまり年度の境

というのは何もないのですが、心機一転の

契機として気持ちを新たにしていこうと

考えた次第です。

 

さて、4月というのは当事務所に限らず

人事異動が多く発生するものです。

支店を持つ大手企業であれば、

転勤などの人事異動はさも当然の如く

行われるものであり、特にその理由に

疑問を持つこともないかも知れません。

 

しかし、支店を持たないような

中小企業であれば、ほとんど人事が

発生せず、退社した人を埋める

中途採用のようなことしかやって

いない会社も少なくないでしょう。

人事異動のある会社とない会社では

何が違うのか、考えてみたいと

思います。

 

まず、よく言われるのが、人事異動が

なければ取引先との癒着が発生する、

ということです。

確かに官公署のようなところであれば、

官民の癒着というのは避けなければ

ならず、癒着を回避するための

人事異動が必要な部分があります。

その一方、取引先との信頼関係を

構築するためには一定の期間が必要で

あり、短期間で異動してしまうと

円滑な取引が実行できないという

デメリットもあります。

 

次に、一定期間、同じポジションに

あると、外からの監査の目が入らなくなり

不正行為が発生する、ということも

指摘されることがあります。

確かに、特に経理などの分野においては、

1人しかわからないようになってしまうと

事後のチェックもできなくなるような

場合もあり、不正の温床となって

いきます。

その反面、あまりにポジションが変わると

そのポジションにおいてやろうと思って

いた改善や変革が中途半端な形にしか

ならない、という面もあります。

 

このような中規模、大規模の組織における

人事異動と比較して、当事務所を含む

中小企業における人事異動(人の入れ替え)

というのは非常に大きな意味を持つと

思われます。

それというのも、中小企業では、基本的に

意思決定を担うのは社長以外になく、

社長がいかに意思決定基準を磨いて

いくか、にかかってきます。

 

「人は人によって磨かれる」

という言葉がありますが、まさしく至言

であり、人と交わらずして新しい

気付きや学び、すなわち

「!」や「?」は

発生しえないわけです。

 

最近はコロナ騒動により、人と会ったり

人と話すことが悪のように扱われるご時世

になっています。

これによって経済活動が止まることの

重大性を指摘する声も大きいですが、

それ以上に意思決定基準の涵養が

図れなくなっているというところも

重要な部分ではないでしょうか。

もちろん、オンライン会議なども

導入されてきてはいますが、

漠としたことをオンラインで話す人が

どれだけいるでしょうか。

やはりオフラインでなければ話せない

ような模索的な話も数多く存在する

はずです。

 

人事異動と人と交わることの価値に

ついて、一度思いを致してみることも

大切なことなのではないでしょうか。