投稿日:2020年03月27日

【札幌 弁護士コラム】お客様の感想に思う:過去を証拠に頼った紛争処理と今ここにいる人を見た問題解決

こんばんは、荒木でございます。

 

今日は午前中から昼過ぎにかけて、

顧問先様訪問、社労士の先生との打合せ、

ロータリークラブの会合、そして

書面作成、夜は読書と充実の一日でした。

コロナウイルスには負けてられません!

 

さて、先日、案件のご依頼を頂いていた

お客様から労働関係の案件対応の

ご感想を頂きました。

 

それというのが、

「従業員との感情のすり合わせが微妙な

案件で、一歩間違っていたら大きな紛争に

発展するところだった。

柔軟な対応だったからこそ相手の感情を

傷つけず、丸く収まるようになった。

他の弁護士に頼んでいたらどうなって

いたかわからなかった。」

というものでした。

 

もちろんこれは要約ですし、若干、

私(荒木)の主観が入ったものですし、

私(荒木)を持ち上げて頂いている

部分もありますので、額面通り

受け取って頂くようなものでは

ありません。

ただ、ここでこのお客様が仰った内容を

私なりにかみ砕いでみて思った

ことがあります。

 

それというのが、

「紛争を見ずに、人を見るべき」

ということです。

今回の件で、私(荒木)ができたとすれば

このことに尽きるのではないかと

思います。

 

それというのが、このブログで散々

書いているように

「紛争は過去の清算に過ぎない」

ということが前提となるのですが、

その対極にある視点が、

「人は現在を生き、未来に向かっている」

ということだろうと思います。

 

今回の件では、会社側の代理人の立場で

従業員の方と話し合いをしたのですが、

まず意識をしたのが従業員の方の

考え方と感情です。

今回の件の本質は、この従業員の方と

今後、どのような関係を作って行くか、

ということにあったわけですので、

このことに非常に重きを置きました。

 

聞く人によれば

「何だ、当たり前のことじゃないか。」

と思われる方もいらっしゃるかも

しれませんが、紛争を処理する弁護士を

標準にすると、「過去に何があったか」

にしか関心がないことになります。

すなわち、「過去に違法なことを

行っていれば制裁を与えるし、過去に

それが認められないのであれば制裁を

しない」という発想しか湧いて

こないはずです。

…というのが弁護士業界の標準的な

スタイルです。

 

これは、従業員と長い時間を過ごしてきた

経営者にとっては非常に違和感を感じる

部分であることもしばしばです。

私(荒木)ができることとすれば、

弁護士業界の標準的なやり方と、

経営者との感覚の溝を少し埋める

程度のことだけなのかもしれません。

 

過去の清算と未来へつながる行動の

バランスを考える。

 

このことは同時に物質的な証拠を

見て行動するのか、いまそこにいる

生身の人間を見て行動するのか、

という対立軸を持っているのかも

しれません。