こんばんは、荒木でございます。
今日は朝から事務所でサービス利用
規約を作るなどしてから、知り合いの
スイーツ店がオープンということで
陣中見舞い、それから映画を観に
行きました。
それが本日封切られた『三島由紀夫vs
東大全共闘 50年目の真実』でした。
<映画HP>
https://gaga.ne.jp/mishimatodai/
(以下、若干ネタバレの可能性あります。)
この作品は、1969年5月13日に東大
駒場キャンパスで行われた、三島由紀夫と
全共闘との討論会のドキュメンタリー
映像をベースとして当時の論客や
周辺にいた人の取材をまとめた映画です。
三島由紀夫のことは、軍服を着た何だか
怖い作家という程度のイメージしか
なかったのですが、この映画を観て
そのイメージが根底から変えられました。
(というより単に全然知らなかった
ということがわかりました。)
それというのも、三島はゲバ(暴力)も
辞さない全共闘のメンバーが1000人も
集まる講堂に単身で乗り込み(厳密には
多少の護衛も潜伏していたようですが)、
聴衆の前で一切たじろぐ様子もなく、
堂々としており、何らの前提のない質問に
詰まることもなくスラスラと回答する
という様を見せつけました。
また、その回答の内容というのも、
全共闘との「決闘」とされていたにも
かかわらず、全共闘の論客を非難したり
矛盾を衝くような方法ではなく、相手の
質問や意見に十分に耳を傾け、
終始、紳士な態度を取り続けるもの
でした。
しかも、討論の中では常にユーモアを
交え続け、右翼と左翼で対立していた
はずにもかかわらず、最終的には
「お互い頑張ろうね」的な形で
締めくくられるという結末に行き着き
ました。
概していうなれば、この討論会は三島の
相手に対する敬意、
反対意見に対する寛容さ、
人としての深み、
臨機応変ができるクレバーさ、
自らの信念と覚悟の強さ、
を感じさせたものであり、全共闘の論客
との格の違いを見せつけるもので
あったと見られました(もちろん、この
映画独自の演出はあったと思われ
ますが。)。
仮に演出があったとしても、このような
交渉態度を取れるような力というのは、
弁護士業にとって必須のものであるものと
理解しました。
一般に、弁護士に対して持たれている
イメージというのは、もしかすると、
相手に対する敬意を持ち、
反対意見に対する寛容さがあり、
人としての深みを兼ね備え、
臨機応変ができるクレバーさがあって、
自らの信念と覚悟の強さを持っている、
と思われているのかも知れません。
しかし、残念ながら私(荒木)は
もちろんのこと、これほど立派な
討論ができる弁護士を見たことが
ありません。
「弁護士は問題をうまく解決する者」
というイメージをお持ちであれば
期待を裏切るようですが、多くの
弁護士はどうも「法律論を盾にした
我田引水の主張をぶつけるだけ」
ということに終始しているように
思われてなりません。
すなわち、自らに有利な部分だけを
取り出して相手に投げつけ、
相手を言い負かすことしか考えて
いない、と言い換えてもいいかも
しれません。
この映画を観た印象では全共闘の
議論の仕方はそのようなものなのかも
知れません(あまり詳しく思想背景
などを勉強しているわけではないので
違っていたらすみません。)。
これでは誰かがジャッジしない限り
問題が解決するはずもありません。
弁護士が交渉にあたるにつけては、
この三島の発言(交渉)態度を
見習わなければならない部分が
多々あるのではないか、と感じた
次第です。