投稿日:2020年03月17日

【札幌 弁護士コラム】「損して得を取る」ことをベースにした問題の解決法とは

おはようございます、荒木でございます。

 

今日はこれから東京です。

東京では、個別コンサル(受けるほう)、

セミナーへの出席、営業の大家の方との

会食です。

明日の午前中に札幌に戻ります。

 

さて、世の中には

「損して得を取る」

ということばがあります。

外見上、絶対的な矛盾を含む言葉ですが、

考えてみれば実は深い言葉であり、

一考の余地があるように思います。

 

ここでいう「損」と「得」とを

整合的に解釈しようとするならば、

必然的に「損」と「得」の価値基準が

異なることになります。

すなわち、例えば、金銭的な評価として

「仕入れの費用(損)を出しても、

売上げ(得)を出せばいい」といった

ような短絡的なことではなく、そもそもの

ものさしが異なると考えるべきでしょう。

 

この意味で一番わかりやすいのが、

「主観」と「客観」の違いです。

主観的には損をしている、すなわち、

腹が立つ、

不満に思う、

不快感を伴う、

といった状態があったとしても、

客観的には得をしている、すなわち、

お金が儲かる、

健康になる、

時間が自由になる、

といったような状況が生まれるときなど

この言葉がぴったりと当てはまります。

 

これは法律的な紛争が生じた場合、

最も意識すべきことの1つにあたります。

客観的な評価を忘れ、主観面が暴走

してしまったとき、紛争は最も

解決が困難になるものです。

 

通常、弁護士が相談を受ける場面と

いうのは、ご相談者の方が、

腹が立つ、

不満に思う、

不快感を伴う、

といった状態にあります。

それに対して(普通の)弁護士は、

「そうなんですね!その不平不満を

相手にぶつけてやりましょう!」

という感じで受任するものです。

しかし、上記の理論をもってすれば、

これって正しいことなのでしょうか。

 

私(荒木)の場合、ご相談に

いらっしゃっても大半の場合が、

「まぁいいんじゃないですか。」

「お互い様ですよね。」

「仕方ないですよね。」

「無理しない方がいいですよ。」

といった感じの返答になります(笑)。

これは及び腰なわけでも、逃げ腰な

わけでもなく、客観面を考慮すれば

そのような回答になるのが自然で

あると考えているからそうなる

わけなのです。

 

かといって私(荒木)が何も策を

打たないわけではありません。

上記のような回答をした後は、必ず、

「次に備えましょう。」

「割り切って本業に励みましょう。」

「それよりこんなことやりませんか。」

といったようなご提案をします。

これも紛争処理に費用と労力をかける

のであれば、それよりも前向きな

仕事や新しいビジネスに注力した

ほうが確実に生産性が高いという、

客観的な傾向があるからです。

 

もちろん私(荒木)も過去の紛争を

全てなぁなぁにしろ、と考えている

わけではありません。

過去の紛争をどうしても何とかしたい

1ミリでも1円でも得をしたい、

何としてでも復讐したい、

ということであれば止めません。

但し、それは私(荒木)の仕事では

ないということを言っているわけです。

何となれば、主観面で損をしたことを

主観的に取り返そうとしても、

その期待値は紛争の構造上、50%を

超えることはないからであり、

効率性の観点から劣っていると

見ざるを得ないからです。

 

損して得を取る。

 

この言葉をもう一度見直せば

問題の解決へのアプローチが

変わってくるようにも思いますが、

いかがでしょうか。