投稿日:2020年02月21日

【札幌 弁護士コラム】「ニーズの産業的解決者たれ」の裏側にある真のニーズを掴むことの難しさ

こんばんは、荒木でございます。

 

昨日は朝から映画館で行われる

寺島実郎先生のセミナーに出席し、

その後はお客様同士の紹介、

スタッフとのミーティング、

ドラフト作業となかなかにタイトな

一日でした。

 

さて、昨日のセミナーでは寺島先生が、

上司から言われた言葉で、

「ニーズの産業的解決者たれ」

ということがあったという話をされて

いました。

これは、産業=ビジネスは人のニーズに

マッチしたものでなければならない、

という意味を表したものであるのと

同時に、産業=ビジネスを志向するの

であれば、人のニーズを深く理解

しなければならない、という

教えではないかと考えました。

 

前者の命題に関しては、ニーズに

マッチしないビジネスをしていた

としたら、顧客が付かないのであり、

いずれ競争原理によって淘汰されて

行ってしまいます。

そうだとすると、この命題はそれを

満たしていたのかどうかが客観的に

明白になる、といえます。

 

一方で後者の命題というのは、

必ずしも客観的に明らかにならない

ものといえます。

すなわち、

「よく売れる商品・サービス」が、

「顧客の真のニーズにマッチした

商品・サービス」とは限らないから

です。

 

もちろん、大きなトレンドでいえば、

深い、真のニーズを掴んだビジネスは

売れる傾向に乗るのかもしれません。

しかし、真のニーズを掴むのには

コストがかかり、また掴んだとしても

顧客も自覚していないニーズで

あったりすることから、それが直ちに

購買行動を誘発させるものには

ならないからです。

 

例えば、法律事務所に交通事故の

損害賠償請求の依頼をしに来られた

お客さんに対して、

弁護士が、家族構成、経歴、年収、

仕事内容、趣味、宗教などまで

事細かに聞き出して、

「あなたは損害賠償なんかしないで、

子供との時間を大切すべきである。」

などとアドバイスをしたら

どうでしょう。

仮にそれが本当は正しいアドバイス

だとしても、この弁護士に交通事故

を任せる気にはならないでしょう。

それというのも顧客は表面的にでも

自覚しているニーズを満たして

欲しいと考えて商品・サービスを

求めるからです。

 

この意味で真のニーズに従った

商品・サービスを売るということは

容易なことではありません。

それを実現するためには、まず、

顧客に真のニーズに気付いてもらう

プロセスが必要となります。

そのプロセスというのが

人間としての強固な信頼関係を

築く、ということです。

人は信頼関係のある人にしか

本音を吐露しないものですし、

原理的に信頼関係のない人の

前では真のニーズが見つからない

ようになっているのかも

知れません。

 

真のニーズに従った商品・サービスを

提供しようとすることは、

信頼関係を構築することと理解

しなければなりません。

そうだとするとこのことがいかに

困難な課題であるかがわかって

くるのではないでしょうか。