おはようございます、荒木でございます。
今日は、昼からつなぐ相続アドバイザーズの
打合せ、夕方には交通事故事件でお医者様
との面談が入っていますが、それ以外は
書面のドラフト時間になりそうです。
さて、昨日は弁護士会の倫理研修が
ありました。
これは5年に1度、弁護士である以上、
義務として出なければならない研修です。
5年おきに集められているため、1年目、
6年目、11年目、16年目…といった
ように新人からベテランまでが一堂に
会し、ディスカッションを行う形式で
進められました。
そこで進行役から毎回(といっても
3回目ですが)言われるのが、
「ベテランの先生から学びましょう。」
ということです。
これには毎回、疑問を持ってしまいます。
もちろん、先人の知恵がある以上、
経験としては私よりお持ちの先輩ばかり
でしょうし、色々と検証してこられた
先輩も多くいらっしゃることでしょう。
しかし、いつも感じる論調が、
「経験が多いほうが正しいほうに向く。」
というものです。
これは本当なのでしょうか。
仮にそうであるとすれば、
1年目よりも10年目のほうが、
10年目よりも20年目のほうが、
20年目よりも30年目のほうが、
実績、依頼者からの信頼、処理能力、
その他もろもろの点で優れている
はずです。
しかし、評判や客観的に認められる
実績ではおよそそうとは思えません。
この仮説が成立するためには、
基本的な能力等を含めた
スタートラインが全員一致しており、
年次を経ることによって必ず一定の
上積みが生じることが必要ですが、
必ずしもそのことが保証されている
わけではないからです。
ベテランの先生方が仰ることが
必ずしも間違っていないということは
明確に述べておきますが、
「ベテランの先生から学びましょう。」
という発想が会のガラパゴス化を
招いている、ということは
意識をする必要があります。
ガラパゴス化するということは、
外部環境の変化に対する脆弱性の
リスクを抱えるということになります。
<ガラパゴス化:wiki>
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%83%91%E3%82%B4%E3%82%B9%E5%8C%96
感覚的な話にはなってしまいますが、
法曹界というのはこのガラパゴス化が
相当程度に進んでいる業界では
ないかと思われます。
例えば、書面のやり取りにしても
基本的に紙ベースですし、会議
(裁判期日)についても対面が基本、
ようやく今月からweb会議の
試験運転が始まったような業界です。
法律上、裁判所に権限が与えられており、
弁護士代理の原則があることから
業界の独占性があるものの、
業規制がなくなる、又は緩むとすると
外部環境リスクに強くさらされる
ことは明白です。
AIの台頭によって弁護士業も危うい
のではないか、ということが
言われますが、私見ではAIの
処理能力に弁護士が勝てなくなるの
ではなく、AIという外部環境の
変化に対して適応力のない
業界慣習があるからこそAIに
席巻されてしまう恐れがあるのでは
ないかと考えています。
このような話は弁護士会だけではなく、
各業界に存在すると思われます。
それを変革する必要があるのかは、
それぞれの判断になると思いますが、
少なくとも現状認識だけは
持っておく必要があるのでは
ないでしょうか。