こんばんは、荒木でございます。
昨日は朝から裁判所の期日、昼から
顧問先様の案件の打合せ、新規のご相談、
既存案件の方向性確認の打合せ等、
諸々大忙しでした。
さて、先日、事務所で月例ミーティングを
行ったのですが、スタッフである行政書士
からこのような質問がありました。
「法律的にはこうしなければならない、
ということがあるけれども、それを
四角四面に守っていたらビジネス的に
絶対ワークしないので、依頼者は
法律をいかに掻い潜るかばかりを
訊いてくるのだけれども、
どうしたらいいんでしょう。」
というものでした。
確かに、この質問は士業が持つど真ん中の
質問であり、私も明確な解を
持ち合わせていない部分です。
そこでとっさに思いついたのが、
夏目漱石が書いた草枕の冒頭です。
「山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。
情に棹させば流される。
意地を通とおせば窮屈だ。
とかくに人の世は住みにくい。」
↑これです!
士業の仕事というのはまさしく
これの繰り返しなのです。
少し解説を試みるならば、
「智に働けば角が立つ。」
というのは、法律相談に来られた方を、
理屈のみで説明しようとすれば、
「何だお前は!俺(私)の気持ちが
わからないのか!」となってしまう
ということです。
逆に、
「情に棹させば流される。」というのは、
お客さんの要望に応え過ぎて、
グレーな者は白に、黒いものも白に、
ということで業務を進めてしまうと、
いつか相手方に足を取られたり、
行政庁や弁護士会からお叱りを
受けたりするようなことを
覚悟しなければなりません。
一方で、
「意地を通とおせば窮屈だ。」
というのは色々な解釈が可能ですが、
自分がやりたいことをやろうとすると、
どこからともなく抵抗勢力が
現れる、というもの士業の業界の
特徴かもしれません。
しかし、夏目漱石の言は言い得て妙で、
士業の業界の摂理をまさしく
言い表せているように思われます。
しかし、実は士業に求められている
ことは、これらの規律(?)を守れば
足りるというものではありません。
これらの規範を乗り越えるような
イノベーションが絶対に必要に
なります(弁護士会がこのようなことを
言っているわけではありません。
というより、イノベーションといった
意味においては障害でしかありません。)。
士業の方は、今一度、草枕を読んで、
自らの仕事にも活かしていかれては
いかがでしょうか。