投稿日:2020年01月15日

【札幌 弁護士コラム】リサージュ図形に学ぶ:人の認識のずれと紛争回避

おはようございます、荒木でございます。

昨日、何となく観ていた朝の情報番組で

 

「リサージュ図形」

 

というものを取り上げていました。

 

<リサージュ図形の動画>

https://www.youtube.com/watch?v=EqE032NSQr0

 

この図形は白地に黒い曲線が回って

いるように見えるだけですが、

これに縦の光を当てると横回転する

ように見えますし、

横の光を当てると縦回転する

ように見えるという不思議な図形です。

 

この視覚効果については専門外ですので

何ともいえませんが、ここで思ったのは

「世の中の事象というのはこれと

同じなのではないか」

ということです。

 

すなわち、世の中の事象は様々あれど、

客観的な(神様の目からみると)一定の

真実が存在します。

しかし、事象の片面だけを見たり、

何らかのバイアスを持って見たりすると、

見方が変わることを象徴しているように

思われます。

 

これは訴訟をやってみるとよくわかります。

客観的に同一の真実に触れているはずの

原告と被告とが全く違う解釈をしている

ことが頻繁にあります。

確かに訴訟に発展すること自体が

多少は異常事態なのでしょうが、

訴訟に発展しないまでも当事者間で

全く認識が異なる、ということは

決して少ないことではありません。

そこに紛争の火種があり、

場合によっては大炎上することが

ある、という構造になっています。

 

このようなことを回避するためには

どうするか、ということですが、

人間には主観というものがある以上、

完全に認識を一致させるというのは

不可能です。

しかしながら、ビジネスであれば、

それぞれの取引における「ツボ」の

ようなものがあり、それを書面化する

ことが1つの解決法になります。

 

例えば、売買契約であれば、

・売買の目的物の特定

・代金額

・代金の支払い方法

・代金が支払われない場合の保証(担保)

・目的物に欠陥があった場合の対応

といったところが「ツボ」といえるでしょう。

 

このように、認識の相違が生じうるところに

前もって手当てしていくこととこそが

紛争の回避につながります。

 

他者とは認識が異なることが当たり前である。

 

このことを前提に紛争の回避を考えていく

姿勢が必要ではないでしょうか。