投稿日:2019年11月22日

【札幌 弁護士コラム】弁護士界の常識は非常識?:一歩引いてから考えてみる姿勢の大切さ

これから東京出張です。

今回は久しぶりのロースクールの同窓会と

月例のセミナーへの参加が目的です。

 

さて、最近、とある弁護士からの要望事項を

書いたグループメールが流れてきました。

 

「刑事事件での謄写費用は、事件終結後の

一括精算ではなく、毎月精算してもらえないか。

立替分が大きくなって困る。」

 

というものでした。

 

弁護士でない方にはこの前提がよくわからないと思いますが、

基本的に、刑事弁護は国選弁護といって

国のお金で弁護士が動いている案件がほとんどです。

弁護活動に必要な実費も基本的には国に請求し、

賄われることになります。

 

一方、弁護活動をするためには情報収集が必要ですが、

一番大きい情報は警察や検察が握っていることが

大半です。

このため、一定の範囲で弁護士が警察や検察が持っている

証拠を謄写(コピー)できる権限を持っています。

この謄写を行うための費用は弁護士が支出し、

後で国に請求するというような仕組みになっています。

 

このため、一旦、弁護士が謄写費用を賄わなければならず、

上記の問題が発生するわけです。

 

上記の弁護士の見解は、金銭の精算に着目したもので、

金銭の負担の観点からは理にかなっているように思われます。

 

しかし、もう一歩引いて見てみるとどうでしょうか?

 

「警察も検察も国の組織なんだから謄写費用をタダにすればいいじゃん。」

 

とか

 

「コピー機のカウンターを金銭を精算する機関のシステムに

接続すればいいじゃん。」

 

とか、ひいては

 

「警察や検察の書類をすべて電子データにすればいいじゃん。」

 

といったような見方もできるはずです。

 

他業種の方から見たら当たり前だと思われる発想も、

法曹界で長らくやっていると浮かばなくなるということ

ではないでしょうか。

 

これは単に法曹界だけの問題ではなく、業界として

確立しているような世界においてはよくあることでしょう。

 

常に本質が何かを考え、一歩引いて考えてみる、

ということは意識に乗せ続けておくべきではないでしょうか。