投稿日:2019年06月29日

【札幌 弁護士コラム】「今だけ、ここだけ、自分だけ」を取るか、「第二領域」を取るか

一昨日は、寺島実郎さんの知の再武装というライブ・ビューイング形式のセミナーに参加してきました。

このセミナーでは、日本の実体経済について分析を行うというコンセプトのもと、世界経済における日本経済の位置づけ、日本経済の中で何が起こっているのか、といったような点についてお話をいただきました。

 

この中で、印象に残ったことは、日本のサラリーマン世帯あたり所得の低下の現状、教育費等の将来に対する投資額の減少、といったような現状があるにもかかわらず、必ずしも主観的な幸福度は下がっていない、といったようなデータの分析でした。

すなわち、未来に対しての期待はしていないが、現状に大きな不満はない、というのが統計的なデータのようです。

これを表して、「今だけ、ここだけ、自分だけ」といったような表現がなされるようなことも指摘されています。

 

これはあくまで、経済的な所だけに目を向けたものですが、ビジネスや仕事においても同様の傾向が見受けられるのではないかと思います。

すなわち、目先の利益を確定できれば良い、一生懸命に働いて将来に対する貯蓄を行うよりも現状で残業がない会社のほうがいい、将来に対するビジョンを持った経営を行っておらず現状維持を目的とする経営を行っている、といったようなところに端的に表れているのではないかと思うわけです。

 

確かに、このような話はあくまでも自己決定の問題ですので、こうでなければならないといった話ではありません。

ただし、自己決定が本当の満足につながるのは、外部的要因を含めて、リスクを十分に勘案した自己決定がなされている場合に限られます。

この観点からすると、「今だけ」という考え方は将来におけるリスクを捨象していますし、「ここだけ」という考え方は外部からのリスクを限定的に見ていることになりますし、「自分だけ」という考え方は社会的なリスクを十分に考えていないということにつながってきます。

 

そのような意味において、「今だけ、ここだけ、自分だけ」といった発想にはおのずと限界があるのではないでしょうか。

これと対極にあるのが「第二領域を大切にする」という考え方です。

第二領域とは、「7つの習慣」で語られているものですが、「緊急ではないが、重要なこと」を指すものとされます。

この第二領域に取り組むということは、目先の結果を求めるのではなく、先々を見据えた行動を行うことを意味します。

第二領域に意識的に取り組んでいけば、無形資産が増えていき、自分の思う結果が徐々に実現していくことになります。

現代的な発想とは逆の発想ではありますが、将来を見据えた場合には結局、「第二領域を大切する」といった考え方がより満足のいく結果を生み出していくのではないでしょうか。